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 “Fujisawa did not miss that opportunity.”

 私ならこう意訳する。

 藤澤は相手のミスを許さなかった。

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 このミスを誘発したのは、吉田の2度のポート成功にあるが、この大会、スイスはクリーンでディフェンシブな展開を心掛け、成功を収めてきた。相手に2点を許したのは9試合でわずか8エンド、3失点も一度だけだった。

 北京という舞台で、スイスは端正なドレスを着て、上品なワルツを踊って成功を収めてきた。ところが、日本はこの第5エンドで相手のわずかな乱調をつき、急にタンゴを踊ることを要求したのだ。

 そしてタンゴは乱れた。

笑顔を見せる藤澤五月 ©JMPA

決勝の相手はイギリス

 準決勝、最後まで冷静に戦いを進めた日本は、歴史的な勝負を制した。

 さあ、決勝の相手はGBR、イギリスである。

 というより、このチームはスコットランドだ。関係ないが、私からすれば、ラグビーW杯2019、グループステージの最終戦で戦った相手である。

 イギリスのスキップは、私が敬愛してやまないイブ・ミュアヘッドだ。

 ミュアヘッドは2010年のバンクーバー・オリンピックの時に19歳で出場、2014年のソチ大会では銅メダルを獲得。そして2018年の平昌大会では最後の一投を決めれば銅メダルが決まったのだが、痛恨のミス。メダルを手にしたのは藤澤率いる日本だった。