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「推しがいいこと言っているから、知ってもらいたい」雑誌の文章のみSNSにアップするのも著作権NG…見落としがちな“推し活”の注意点

『清く楽しく美しい推し活』より #2

note

プライベート写真に関する裁判事例も

 これまでの話題と少し方向性は異なりますが、プライバシー権にも注意していただきたいです。例えば、オフの推しの姿を撮影し「池袋の路上で〇〇の△△を発見」とSNSに投稿したら、プライバシー権の侵害となる可能性があります。

 実際、路上を歩くアイドルの写真等を雑誌掲載した裁判(ブブカスペシャル事件)の判決では、「芸能人にも公私の区別があり、不利益な取扱いはなされない。芸能人だから仕方ないというのは“論理の飛躍〞である」とし、有名税理論を否定しています。

 今やSNSもネットメディアとして非常に強い拡散力がありますので、個人のSNSだから訴えられないということは一切ありません。友達や家族に「今日△△を池袋で見かけた」と話すことと、リアルタイムで全世界に公開するのとでは、プライバシー権侵害の程度に雲泥の差があります。しかも、目撃情報の投稿から自宅住所などの個人情報が拡散され、ストーカー被害などで被害者が引っ越さざるを得ない状況につながったりすれば、損害額は数百万になる可能性すらあるのです。

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 逆に「権利を侵害しない投稿」とはどんなものなのか、気になるかと思います。一例として、雑誌を読んだあなた自身の感想をSNSに投稿することは、基本的に問題ありません。

 事例においては、「昨日発売の〇〇(雑誌名)に写っている海辺のショットがすごくかっこいい」「〇月号にあった推しのツアーインタビュー、泣ける。読んでほしい」と、あなたならではの感想を書く分には、違法行為とはならないでしょう。

 布教したいと思ったら、無断転載など違法な方法は避けて、自分自身の言葉で雑誌の魅力を伝えるといいかと思います。

清く楽しく美しい推し活 ~推しから愛される術

河西 邦剛 ,松下 真由美

東京法令出版

2022年2月7日 発売

「推しがいいこと言っているから、知ってもらいたい」雑誌の文章のみSNSにアップするのも著作権NG…見落としがちな“推し活”の注意点

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