ジャニーズの公演で本格的にデジタルチケット(以下デジチケ)が導入されたのは2017年4月8日の「ジャニーズJr.祭り」追加公演(於さいたまスーパーアリーナ)からでした。事前には嵐コンサート等で運用テストが行われ、万全を期してのスタートのはずでした。

 あれから4年。紙チケットと違って扱いづらいデジチケは、社会問題化していた“チケットの高額転売問題”を一掃すると期待されていました。

 しかし残念なことに、現在のチケットを巡る状況は4年前に勝るとも劣らない“地獄”が広がっています。

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 その変化は言ってみれば「露天風呂だった地獄が内湯になった」といったもの。なぜこんなことになっているのか、その内情を明らかにしたいと思います。

ジャニーズのデジチケ、3つの特徴

 ジャニーズのデジチケには、3つの特徴があります。

 1つ目は、入場するまで座席がわからないこと。

 2つ目は、チケットを購入した代表者が参加できない場合、同行者のみでは入場できないこと。

 3つ目は、公式のリセールシステムが整備されていないこと。

 チケットを買う側にとって、どれもかなり苦しい条件です。

デジチケの案内 Johnny_s netより

 たとえば1つめの「入場するまで座席がわからないこと」。格闘技の特別リングサイド席や野球のエキサイトシートのように、チケットが最初から価格差のある指定席であれば、自分が出せる金額やその日の重要さに応じて、“高価なぶん満足度の高い席”や“ステージからは遠いけれどリーズナブルな席”を選ぶことができますが、ジャニーズのコンサートではそれは不可能です。しかもチケット価格はステージ最前から立ち見まで全ての席で一律です。

 2つめの「代表者が参加できない場合、同行者のみでは入場できない」のは単純に不便です。前の用事がのびて遅刻してしまうことは誰しもありますが、一緒に観に行く人に前もってチケットを渡しておくことができないのです。

 さらに「公式のリセールシステムが整備されていない」ので、もし何かの都合で公演に行けなくなってしまえば、チケット代を諦めるか違法な転売をするしかなくなってしまうのが現状です。転売すると言っても会場ではファンクラブ会員宛に発行されたQRコードをその場で提示する必要があるので、会員番号やパスワードを共有しない限り入場ができません。大規模に転売する業者は会員番号なども組織的に管理していますが、一般のファンには抵抗があります。