スタッフがひっきりなしにトイレへ…
中でもジャニーズチケットを巡る地獄を悪化させているのが「入場するまで座席がわからないこと」で、入場後にチケットを売買するケースが激増しているのです。私自身も、その悪影響が噴出した場面を目撃してしまいました。
2021年6月7日に横浜アリーナで行われた、SixTONESの「on eST」の公演での出来事です。
開演30分前に会場へ到着してトイレの列に並んでいると、黒服を着たスタッフがひっきりなしにトイレに出入りし、辺りに睨みをきかせていました。先に入場していた友人に訊ねると、「昼の部で座席券の“取り引き”をしていた人がスタッフに見つかったみたいで、きびしく見回ってるらしい」とのことでした。
“取り引き”というのは、入場するまで座席がわからないので、会場で座席券を受け取ってからファン同士で交換・売買することで、それこそが現在多くのジャニーズ公演会場で起きている地獄の正体です。
「この人たちと4人で入場してください」
はからずも、こうした取り引きに巻き込まれたAさんに話を聞くことができました。
「友だちと一緒に行こうと思い昼の部のチケットを2枚取ったのですが、友達が行けなくなってしまい、SNSで“交換同行”してくれる相手を探しました。交換同行というのは、昼の部は私が取ったチケットで一緒に観て、夜の部は相手が取ったチケットで入れてもらう、ということです。
昼の部は自分で取ったチケットなので問題なかったのですが、夜の部の待ち合わせ場所に行くと、同行者を含めた20人近い集団がいたんです。その中の代表らしき女性が私の同行者と話して『この人たちと4人で入場してください』と、他の2人連れを紹介されました。
同行者にどういうことか訊ねると、『他のファンから転売チケットを買っていた』と言われました。同行者が自分で買ったチケットで交換同行するという約束だったので裏切られた気分になりましたが、もうどうすることもできません。結局、その場で組まされた4人で一緒に入場することになりました。
座席券はグループごとに配られるんですが、配られた座席券を代表が1度集めて、陰で何か交渉をしている様子でした。その間ずっと待たされてトイレにも行けず、スタッフにロビーで立ち止まらないように注意されてストレスがたまりました。ようやく座席券をもらって席に着けたのは開演ギリギリ。昼の部を一緒に観た同行者は『トイレに行く』と出て行き、最終的に隣に座ったのは同行者とは別の人でした」
Aさんと“交換同行”を約束した相手は、20枚近いチケットを持つ女性から転売サイトで購入していたのです。ファンクラブの1名義で買えるチケットは最大4枚なので、かなりの数の名義を抱えているのでしょう。