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暁之進 芸を盗むじゃないですけど、芸は盗むものというふうに育っているので。

佳之介 そして、わからないことはきちんと聞く。

――マジシャンにとっても、寄席は大事な場所になりますか?

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暁之進 マジックを披露する場がないんですよね。日本奇術協会が寄席興行を打っているわけでもないので。落語芸術協会だったら寄席、吉本興業さんだったらルミネtheよしもとがあったりしますけど、マジシャンにはそういう場所がない。

佳之介 僕らにとって寄席は、新しいネタを披露して、お客さんの反応を探れる場でもあるんですよ。営業では完璧なものをお見せしないといけないですけど、寄席だったら新しいものにチャレンジできるので。

――さすがに寄席ではイリュージョン系は難しいですよね。

佳之介 師匠や前座さん、色物をやる他の芸人たちもいるので、僕らの道具を舞台上に置いておくこともできないですしね。

暁之進 それもマナーのひとつで、幅を取らずに自分たちの芸を見せるという。

©文藝春秋

テレビで人体切断のマジックがカットされた“意外な理由”

――ハトを飛ばすネタなどは、さすがに寄席だと難しいですか。

佳之介 いま、ハトは屋外でもやらないですね。どこかへ飛んでいっちゃうと大変だってことで。

暁之進 冬になると、インフルエンザが流行るからダメだとか。マジック用に飼っているハトで、渡り鳥じゃないので関係ないんですけど、気にされる方はいらっしゃるので。

佳之介 結構、社会の情勢に左右されるんですよ。人体切断のマジックをテレビの収録で披露したのに、放送の直前にそういう事件があるとカットされたり。

©文藝春秋

――それはやりづらいですね。

佳之介 そんな苦しい状況のなかで「もっと不思議なことをしてくれ」と言われると、「魔法じゃないんだぞ」って(笑)。でも、自分たちはノーとは言わないことにしてるので、できる限りのことはやります。

――意地の悪い質問になりますが、昔は“子供という冠”がありましたけど、当たり前ながら成長された現在はないですよね。この差って、大きかったりしますか。

佳之介 大人がやっていたことを子供がやると、真新しいんですよね。僕らの場合は、マジックをやっている子が滅多にいなかったから。で、プロとしてやっている子たちとなると、なおさらいなかったので。そういうふうに見てもらえていたとは思います。まぁ、小さい頃はみなさん優しくしてくれましたよね。けど、いまは見向きもされない(笑)。