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落語の世界で学んだ「芸人の上下関係」

――2017年に落語芸術協会に入られていますが、この理由というのは。

佳之介 中学生ぐらいから、寄席にはずっと出ていたんですよ。「代演」という形でしたが。寄席の興行は10日単位で演者が代わるので、その期間中は毎日出演することになるんです。子供の頃は、学校があるから10日連続で入るのは難しくて。いつか自分たちの名前でちゃんと正式に出たいなとずっと思っていたんです。

 2017年に入った時は「え、いまさら?」って言われました。「まだ入ってなかったの?」とか。

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暁之進 彼がちょうど大学卒業したのが2017年で、じゃあ入ってもいいんじゃないかという感じで。

――協会に入らないと、寄席に出るのは難しいものですか。

暁之進 普通は出られないです。

佳之介 それこそ、師匠がゲストとして呼んでくださって出るということはありますけど。

©文藝春秋

暁之進 もともとは父が入っていて、その代演という形で僕らは出させてもらっていました。

佳之介 全国の寄席に出られるのは、大きいですよね。場数を踏めるというのがあるので。新ネタ下ろしとかもできて、マナーも学べるし。

暁之進 芸人の上下関係やしきたりがあるので、そういう面でも鍛えられましたね。

佳之介 あと、舞台上での時間の配分も。自分たちの持ち時間で、絶対に収めるとか。そういう計算ができるようになりました。

――寄席での上下関係ですが、おふたりと噺家さんたちにもそうした関係があると。

佳之介 あります。

暁之進 寄席や落語芸術協会のお仕事は落語が主体なので、あくまで落語家さんがメインです。

©文藝春秋

佳之介 師匠の着替えのお手伝いとか、自分たちは基本的にはしないんですけど。でも、地方の寄席や落語会で、前座さんの手が回ってない時はアシストします。

暁之進 銅鑼(ドラ)とか太鼓を使って落語の効果音を作る「鳴り物」っていう演出があるんですけど、それを手伝わせてもらったり。三遊亭円楽師匠の独演会で「ごめん、ちょっとやってくれない?」と頼まれて、見よう見まねでやりました。

佳之介 「やったことないんですけど」とか言いながら。

暁之進 「鳴らしてりゃいいから」とか言われたけど、「僕らがやっちゃっていいんですか?」って。逆に恐れ多かったです。

佳之介 小さい頃から目にしてきたので、やり方はなんとなくわかるんですけどね。