〈あらすじ〉

ジョージアの首都、トビリシの旧市街。19世紀に建てられた木造の集合住宅に、作家のエレネ(ナナ・ジョルジャゼ)は娘夫婦と、ひ孫と暮らしている。娘ナトの姑ミランダ(グランダ・ガブニア)に、アルツハイマーの症状が出始めたため、エレネの家に越してくることになった。エレネの79歳の誕生日に、60年前に恋人だったアルチル(ズラ・キプシゼ)からお祝いの電話があり、二人は若き日に思いを馳せる。妻を亡くしたアルチルは、その日以来折々に電話をかけてくるようになる。ある日ミランダと言い争いになったエレネは、ソヴィエト時代に政府の高官だったミランダの所業により、自身の作家活動が打撃を受けていたことを知る。

〈解説〉

日本の“金継ぎ”になぞらえた、過去との和解の物語。ラナ・ゴゴベリゼ監督・脚本作。91分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆ほぼ室内劇の小品かと思いきや、大きな物語も浮かび上がって来る。ディープなヨーロッパ。アンティックな家具や雑貨。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆手を動かしすぎる芝居が気になったが、窓越しのショットなどにさすがと思わせるものがある。知恵の言葉もちらりと。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆国が背負う辛い過去を91歳でこんな風に描くラナ・ゴゴベリゼ監督が格好良い。老いも恋も喪失も孤独も淡々と存在する。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆落葉期の視座から激動の「個と歴史」を見つめる。ソ連時代の弾圧の中の甘い過去、心の未来をベランダから幻視する美しさ。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆ソ連大粛清と旧グルジア時代。トビリシ旧市街に暮らす主人公の部屋で繋ぎ合わせ昇華されゆく過去と未来。岩波らしい逸品。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
© 3003 film production, 2019

『金の糸』(米)
2月26日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
http://moviola.jp/kinnoito/