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「普通」になれず苦しんだ幼少期

わかぴょん だから昔の僕であればこんな生活は全く考えられなかった。でも、国家公務員の時に、たまたま見に行った舞台に心を打たれたんです。それまではずっとレールから外れないように生きてきましたが、一方で自由に生きている人への憧れもあって。26歳の時に「俳優になること」を決意して、公務員をやめました。大蔵省に転勤したばかりの時だったので、周りからは大反対されましたが、自分の生き方を変えるチャンスだと思ったんです。

 それからは、アルバイトをしながら俳優活動をしていたんですが、当時の彼女から「好きなことで生きるのもいいけど、30にもなって、お金が無いから飲み会の誘いを断るのは違うと思うよ」って言われてショックを受けました。確かに、現実的な生き方じゃないよなって自分の中での葛藤があって、結局また安定を求めて会社員に戻りました。

​​©深野未季/文藝春秋

――みかさんの幼少期はどんな子だったのでしょうか。

みか 私は、幼少期から人と違うことで悩むことがありました。行きたくない学校に行こうとすると熱が出てしまったり、普通は疑問を持たないことにいちいち「なぜ?」と反応してしまって。「これは常識だから!」って言われると、「なんで常識なの?」って。そうすると周りの大人が困った顔をするんですよね。自分に素直に生きることは、人に迷惑をかけることなんだって思っていました。

 母親や周りからは「変わっている子」とレッテルを貼られて、そんな自分をまともなことができない落ちこぼれだと思っていました。自分の感受性が自分の人生の足を引っ張っているとも感じていました。

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――みんな普通にやっていることがみかさんにとっては苦痛だった。

みか まともに生きている人が羨ましかったです。社会人になっても、同じ場所に毎日通うことが難しかったり、人生が固定されると苦しくて。少しでも違和感を感じると我慢できなかったんです。

 まともな人になりたかったけどなれなくて、ずっと葛藤していたんですが、そんな時に、わかぴょんと出会いました。わかぴょんは「The・まともな人」という感じで、私が持っていないものを全て持っていて、私のことを肯定してくれて、いつも優しく接してくれました。