文春オンライン

「げそ天」1日500食、顔は小泉純一郎似…業界の超重鎮「ミスター立ち食いそば」が、八丁堀の名店を救った話

1978年創業「そばのスエヒロ八丁堀店」が営業再開

2022/03/01
note

 都営地下鉄宝町から鍜治橋通りを八丁堀方面に歩いて行く。首都高速京橋JCTの出口が見えてくる。その首都高速をくぐる弾正橋を通過し、その先の信号の横断歩道を渡ると小さな立ち食いそば屋がみえてくる。「そばのスエヒロ八丁堀店」である。

「そばのスエヒロ八丁堀店」は都営地下鉄浅草線の宝町から
弾正橋を渡り八丁堀方面へ歩く
首都高速の先の信号を渡るとみえてくる

バブル当時から、銀座に来るタクシー運転手の御用達の人気店

 創業は1978年。もともとは「六文そば」のフランチャイズ(FC)として誕生した店である。「そばのスエヒロ」は銀座1丁目や日本橋にもあったので、八丁堀店とついているわけである。「六文そば」がFC事業を終了してからも店名は変更せず、今日まで人気の個人店として営業を続けてきた。店主の制服には「六文そば」の刺繍が入っていたのを記憶している方も多いと思う。

「そばのスエヒロ八丁堀店」と「六文そば」「一由そば」の関係

 バブル当時から深夜営業していたため、銀座に来るタクシー運転手の御用達の人気店となっていた。店主の人柄から近所のオフィスワーカーにも支持されていた繁盛店である。特にそのつゆと天ぷらは芸術的で、踊るようなげそ天やいか団子、いんげん天は達人の域に達していたと思う。

ADVERTISEMENT

店は古く昭和の雰囲気である

突然の営業休止、その理由は?

 そんな「そばのスエヒロ八丁堀店」が今年1月28日に突然店を休止してしまった。「閉店したのだろうか」「病気なのか」「店をタタムなんてもったいない!」と常連たちは随分と気を揉んでいたという。

 その店が2月19日に再開するという情報が入ってきた。事情通の方から話を聞くと次のような経緯があったようだ。店を切り盛りしてきた店主が高齢となり、また個人的理由も重なり事業の継続が困難となり店をたたもうと悩んでいた。今年4月にビルの耐震工事があるのでそのタイミングで廃業を計画していたという。ところが、店主の知り合いの会社の方が「店をタタムなんてもったいない。スエヒロの味を守りたい」と事業継承を申し出て、店の運営を継続することになったというのだ。

関連記事