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「負けるオリンピックも悪くはない」 体の“異変”を察していた清水宏保が小平奈緒選手に伝えたいこと

清水宏保さんインタビュー#1

2022/02/26
note

森重選手は流れにうまく乗れた感じ

――清水さんと同じ短距離の森重航選手が500mで銅メダルを獲得しました。

清水 実をいうと森重選手のことはあまり知らなかったんですよ。でも、焼き鳥屋でたまたま読んだスポーツ新聞に彼の記事が載っていて、胸が詰まった。僕と境遇が似ていたんです。僕は4人兄弟の末っ子だけど彼は8人兄弟の末っ子。3年前に亡くなった彼の母が、死に際まで「スケート頑張れ」と。僕の父も、僕が高校の時に亡くなる寸前まで応援してくれていたので、森重選手に対する思い入れがどうしても強くなってしまい…(笑)。

ZOOMで取材を受ける清水宏保さん

 ただ厳しく言うなら、今回の銅メダルは狙って獲ったというより流れにうまく乗れた感じ。4年後に確実に結果を出すには、勝つための条件をこれから一つ一つ積み上げていかなければなりません。スピードスケートは4年かけて心技体を鍛え上げても、スタートのほんの一瞬で崩れることもある。今回、その憂き目に遭ったのがエースの新濱立也選手。スタートで前につんのめり、4年間の夢はあっけなく潰えてしまいました。

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 それにしても見どころ満載の北京五輪でした。五輪には解説で何回か行かせてもらっていますが、今回は毎日違うストーリーが生まれ、あっという間の19日間でした。一日一日がとても濃かった。

 宿泊施設も取材エリアもすべてバブル方式で、PCR検査も毎日必ず受けなければならなかったけど苦になることはなかったですね。食事も美味しかった。ただ、ビンドゥンドゥンを買うのに3時間並びましたけど(笑)。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

「負けるオリンピックも悪くはない」 体の“異変”を察していた清水宏保が小平奈緒選手に伝えたいこと

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