現在東京都心部を歩いていると数多くのクレーンが立ち並んだ大規模オフィスビル建設の現場を目にする。2021年に東京五輪という宴が終わったあとの東京は、それでも成長へのスピードを緩めることがない。

東京の優位は変わらない?

 なんといっても東京は日本の中心。この30年間にわたる経済成長の停滞も何のその。国自体としては、人口は減少に向かい高齢化が加速するが、それでも人は東京に集中する。全国にある大企業1万1千社の内なんと40%を超える企業が東京に本社を構える。東京の優位は変わらないのだ。

 森ビルの調査によれば、2021年から25年の5年間、東京都内で大規模ビル(延床面積1万㎡以上)は計72棟、468万㎡の開業が予定されている。森ビルのシンクタンクである森記念財団都市戦略研究所が発表する世界の都市総合力ランキングでも、東京はロンドン、ニューヨークに次ぐ第3位。アジア経済の中心都市東京のポジションは盤石に思われる。

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©️iSotck.com

アフターコロナを見込んで

 いっぽうで現在の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の主要オフィスビル(ワンフロアの貸付面積100坪以上)の空室率(22年1月現在)は6.26%。コロナ前であった20年1月の1.53%に比べると2年間で4.73%も悪化しているが、そうした動きはどこ吹く風。ビル建設の槌音が止むことがない。

 オフィスビルマーケットを楽観する根拠は2つ。ひとつは現在の空室率の悪化はあくまでもコロナ禍が続く中でテレワーク勤務が主体となったことであり、一時避難的にオフィスを縮小・解約する動きにすぎないというもの。ふたつが、これから景気が回復してくれば、成長産業を中心に再びオフィス需要は盛り上がる。加えてこれからはオフィス内での社員が執務する机の間はソーシャルディスタンスが必要となるため、オフィス床は今まで以上に必要になるとの見立てがある。

 さてアフターコロナを見据えて、オフィスビルマーケットは本当に大丈夫なのであろうか。森ビル調査によれば、25年までの間、新築オフィスビル供給がピークを迎えるのが来年で、17棟145万㎡に及ぶ。この供給量は20年の20棟179万㎡に次ぐ規模だ。