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大規模オフィスビル計画が目白押しの八日京エリア

 同じ八重洲エリアに今年6月に開業予定の関電不動産八重洲ビルも1フロア250坪の大規模ビルだが、ネット上ではまだ多くのフロアが募集中だ。

 実は八重洲から日本橋にかけての八日京エリアでは、25年4月に東京建物が中心となった八重洲一丁目東地区、26年には三井不動産、野村不動産などによる日本橋一丁目中地区、28年度に鹿島、URなどによる八重洲二丁目中地区、30年度には東京建物による八重洲一丁目北地区などの大規模オフィスビル計画が目白押しである。

 虎ノ門エリアでは森ビルが中心となっての大規模再開発が活況を迎えている。だが来年3月に開業する虎ノ門麻布台プロジェクト延床面積86万㎡の開発でも、7月予定の虎ノ門ヒルズステーションタワーでも、アンカーテナント誘致決定の声は、筆者の耳には聞こえてこない。

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 23年はこのほかにも都内では、田町や西新宿エリアでも大規模オフィスビルの開業を控える。また今後2030年までには渋谷、新宿などで同様の大規模市街地再開発事業が続々と建物竣工、開業を迎えることが確定している。

オフィスを働き場としない流れ

 ここで肝心なのが、時代をリードする成長産業が、今までの方程式通りに、こうしたオフィスビルの大量供給の受け皿になってくれるかどうかである。

 気になるポイントがある。昨今のオフィスビル需要を見る場合のテナント側の変化である。クラシカルな大企業ほど、アフターコロナにおいては従来通りオフィスに通勤して働くスタイルに戻りたがる傾向があるいっぽうで、成長を続けるIT系、情報通信系、ゲームソフト系などの産業ほどオフィスを縮小して、リモートとオフィスの併用を行うハイブリッド型の勤務形態に続々と移行していることだ。JOB型社員の増加も、必ずしもオフィスを働き場としない流れを強めていくであろう。

富士フイルムのミッドタウン移転は、2年以上前に決定されていた ©️iStock.com

 オフィスマーケットの変化はおそらく早ければ今年の後半、遅くとも来年半ば頃にはかなり明確になってくるものと思われる。

 今後開業を迎える多くの開発計画のコンセプトを読むと、どの開発でも「世界への窓口」だとか「国際都市東京の玄関」、「国際金融都市にふさわしい」などいずれも世界の中の東京を位置付けようとする文言が並ぶ。さて世界の中の経済、政治、教育、文化などあらゆる分野での衰退を隠し切れなくなっている日本で、この煌びやかなビル群だけで、本当に東京のプレゼンスを保つことはできるのだろうか。

 はじまったアフター五輪、アフターまたはウィズコロナの東京。形だけでない、中身が今こそ問われているのだ。