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ロシア兵を追い出すまで戦う

――ロシアと戦う覚悟は最初からありましたか?

 ウクライナ人は侵攻を受けることへの精神的な準備はできています。数日間シェルターの中にいなければならないことや志願兵にならなければならないということは常に想定してきました。当然、恐怖や嫌悪感はありますが、戦う覚悟はできています。それどころか、今、キエフでは戦闘員の志願者が多すぎるという事態が発生していると聞きます。多くの民間人が戦闘員となることを志願するのですが、応募が多すぎて街に収容できないまでになっているようです。

 歴史を振り返るとウクライナ人は常に外敵と戦ってきました。近隣諸国が攻めてくるというのは古代から経験してきており、半世紀以上平和だったことは一度もありません。紛争や衝突を繰り返してきた土地柄、自分たちの国を守る精神が染みついているのです。今回もロシア兵を追い出すまで戦います。

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――ゼレンスキー大統領は首都に残ると決めました。大統領としての彼のことをどう捉えていますか?

 今、史上最高に支持率が高くなっていると思います。もともと彼はポピュリストの側面があり、叶えられないような政策を掲げていました。それにコメディアンだったこともあって、私にとっては諸手を挙げて賛同できるような人ではありませんでした。ですが今、彼のことを支持しています。自分でも驚いてしまいますよ。

 今回の危機の前に行っていた司法改革など、そのすべてが良かったわけではないですが、少なくとも今はリーダーとして完璧な姿勢を見せていると思います。命を懸けて首都に残って国民とともに防衛する覚悟を見せています。それに、毎日ビデオでメッセージを発信している。大統領自らの口で国の現状を伝えることで、国民は勇気を持つことができます。

 彼はもともとコメディアンだったので演技が得意です。海外の首脳クラスの人間に対しても仲良く立ち振る舞えるので、外交は上手いのではないでしょうか。今ほど彼の前職が有効に働くことはないでしょう。彼の勇気と発信の上手さは最大限に評価されるべきです。