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《ロシア侵攻》「心が綺麗なウクライナ人は邪悪な人間に負けない」“甲冑姿”のウクライナ大使が語る「ロシアと戦争と平和」

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甲冑に身を包んだ恰幅の良い出で立ちは、さながら戦国武将。突如、Twitter上に現れたこのサムライは一体――。

 

投稿が話題を呼んでいるのは、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使(59)。2月15日、武士のコスチュームを着用した自身の写真をTwitterにアップしたのだ。ウクライナ情勢は緊迫している。21日、ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部の親ロシア派の独立を承認することを明言し、ロシア軍に「平和維持活動」を指示。そして24日、ついにロシアはウクライナへの軍事行動を開始した。

 

そんなタイミングでのウクライナ大使による発信。どのような意図があるのか。「週刊文春」の記者はウクライナ大使館にコルスンスキー大使を訪ねた。Twitterの甲冑写真の意味、ロシアに対する思い、日本との関係など、1時間にわたり話を聞いた。

――2月15日に大使がTwitterに投稿した甲冑姿の写真が話題です。

 昔からの友人である「サムライアーティスト」の島口哲朗さんから来日した際にお借りして撮影しました。私はウクライナにいる時、映画「ラストサムライ」などサムライが登場する作品を観たことがあり、武士や浪人に憧れを抱いていました。2020年に大使として日本に来ることになり、島口さんに「サムライの雰囲気を感じたい」とお願いし、コスチュームを用意してもらいました。

 着るのは大変で、時間がかかりました。想像以上に重くて体を動かすのが難しかったですね。いい経験になりました。

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ツイッターに投稿された甲冑姿のコルスンスキー大使(写真提供/在日ウクライナ大使館)

――このタイミングで甲冑写真をTwitterに投稿した狙いは?

 今まさにロシア軍がウクライナへ侵攻しようとしており、緊張が高まっています。投稿した写真をよく見てください。甲冑姿の私の後ろにかかっている写真に写っているのは、娘と孫です。右上にあるのはウクライナの国章。つまり、「我々はサムライのように大切な家族と国を守る」というメッセージを伝えたかったのです。私の覚悟が日本の方々に最も分かりやすく伝わるのがこの写真だと思い、投稿したのです。

 刀を持っているけれども、人に対して刃を向けないこと。大切なポイントはここです。ウクライナ人は平和を愛する民族。あくまでも「守る」ために戦うということを忘れてはいけません。私はこの写真を「We know what we are fighting for. How about Russia?(我々は何のために戦うか知っています。ロシアはどうですか?)」という言葉とともに投稿しました。ロシアから国と家族を守らなければいけません。