「プーチンと彼の周囲の人間は、ロシアの抱える大きな問題」
娘と孫の写真を指し、「ウクライナは国と家族を守るために戦う」と語ったコルスンスキー大使。国境付近で軍備を増強させ続けるロシアに対し、何を思うのか。
――ロシアは何のために戦うのだと思いますか。
私の考えでは、ロシアは“一人”の意志によって戦うのだと思います。誰だかお分かりですよね? ええ、ウラジーミル・プーチン大統領です。彼が何を考えているのかは、誰にもわかりません。正常なメンタリティの人間には理解ができないのです。ただ、一つ言えることがある。心が綺麗なウクライナ人が彼のような邪悪な人間に負けるわけがないということです。恐れなど全くありません。
彼の言動は理解しがたいです。子供は母親の言っていることを理解できますが、母親は子供が言っていることを理解できない――これはどういうことか。ロシアのルーツは9世紀に成立したキエフ公国にあります。元をたどり、国家の形成過程を振り返ると、実はウクライナはロシアの生みの親に当たるわけです。ちなみに、写真に写っていたウクライナの国章はキエフ公国の紋章でもあります。
――ロシアという国家をどう思っていますか。
私はウクライナの首都・キエフ出身ですが、母親はロシア人です。私の知っているロシア人はみんないい人です。大切なのは、ロシア人とプーチンをサポートしている人間は全く別だと考えることです。プーチンと彼の周囲の人間は、ロシアの抱える大きな問題です。
――ウクライナのために日本は何ができますか。
日本の国会議員が、ウクライナの平和実現に向けた政府の取り組みを求める国会決議を採択するべきだと働きかけてくれました。2月15日には岸田文雄首相がウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、「ウクライナの立場を支持する」と言ってくれました。1億ドルの借款による支援の約束もありました。日本からは多大な応援や協力をしていただき本当に感謝しています。ウクライナを心配するメッセージもたくさんいただいた。とても嬉しく思っています。
取材後、日本人へのメッセージをお願いすると、色紙に「平和」の2文字を記したコルスンスキー大使。そこには、祖国を愛する“武士”の姿があった。
(撮影・志水隆)