<子ども達の努力や夢が、常識、良識のない一部の大人たちの為に消えてしまうことは耐え難いことです。どうかお力を貸してください>
ここにA4用紙2枚の文書がある。
これは都内の小学生の保護者たちが連名で書いた“告発文”だ。宛先は、公益財団法人日本バスケットボール協会の三屋裕子会長。さらにもう1通、東京都バスケットボール協会の専務理事に宛てた同様の文書が存在する。
三屋氏といえば1984年に行われたロサンゼルスオリンピックのバレーボール全日本代表選手で、現在は日本バレーボール協会の理事も兼任している。
代表チームを協会が独断で選考
なぜ保護者らは、この“告発文”を出したのか――。
「今年1月、センバツ高校野球の出場校を巡る選考会での不可解な選考が大問題になりましたが、実は東京の小学生たちが参加するミニバスケットボールでも、全国大会の出場をめぐって不透明な選考が行われていたんです。保護者たちは当然怒りの声をあげています。先月、保護者たちが連名で全国大会を主催する日本バスケットボール協会などに“告発文”を送ったのですが、事態が収まる気配はありません」
そう話すのは、東京都のあるバスケットクラブ関係者だ。
“事件”が起きたのは2月15日のこと。1通のメールが各チームの指導者たちに送られたという。保護者の1人が経緯をこう説明する。
「東京都のチームが全国大会への切符を手にできる唯一の大会『鈴木正三杯』が今年1月から始まりました。男子128チーム、女子108チームがしのぎを削っていたのですが、ベスト32が決まった後の1月10日にコロナ感染拡大の影響で大会が一時中断されました。再開の目途が立たない状況ということで、東京都バスケットボール協会の12歳以下を担当するU12 カテゴリー部会(以下・U12部会)が、ベスト32に勝ち残ったチームの中から、全国大会・関東大会に行くチームを独断で決めるという方針を打ち出したのです」