その稚内合宿時に、ロコ・ソラーレにラテン系音楽のダンスエクササイズ「ZUMBA」を教えたのが、地元出身でフリーのインストラクター・阿部佳奈子さんだ。阿部さんは、相沢食料百貨店が主催する「あいざわ運動教室」で現在もZUMBA教室を担当している。
当時、ロコ・ソラーレの稚内合宿を知った阿部さんは「チームの皆さんにもZUMBAを楽しんでほしい」と思い立つ。すると奇跡的に人づてにロコ・ソラーレの藤澤五月(ふじさわさつき)選手につながった。ちょうどチームは様々なトレーニングを実践中といい、ロコ・ソラーレからの「(ZUMBAが)面白そうなのでお願いしたい」という申し出を受け入れ、阿部さんの指導のもと、彼女たちはZUMBAで汗を流した。阿部さんによると、レッスン中は笑顔でリラックスした様子の選手たちが、レッスン後に体の動かし方を確認する真剣な姿が印象的だったそうだ。
この時、合宿中の食事の調達に困っていたロコ・ソラーレを阿部さんが案内した先が、相沢食料百貨店から徒歩3分のゲストハウス「モシリパ」だった。
「こんなご飯が食べたかった!」
かつて稚内のユースホステル「モシリパ」として親しまれていた宿を2019年に譲り受けた武重美亜(たけしげみあ)さんと夫の謙さん。二人は東京から移住し、ゲストハウス「モシリパ」をスタートさせた。
現在は、希望があれば朝食に名物「蝦夷鹿朝カレー」(850円)を提供している(宿泊者のみ)が、当時は食事の提供は行っていなかった。その「モシリパ」に、稚内合宿中のロコ・ソラーレがZUMBAの阿部さんに連れられてやって来たのだ。
ロコ・ソラーレが初めて武重さんの料理を食べた時、聴こえてきたのは「こんなご飯が食べたかった!」と喜ぶ声。「美味しいね~」「これはどうやってつくってるの?」と興味津々の様子だったという。
武重さんは夫と2人で、世界中でみそ汁をふるまう旅の後、箱根で民泊を経営しながら東京の和食の名店で日本料理の基礎も習得した、ユニークな経歴の持ち主。移住後はモシリパを切り盛りしながら「和食コースを食べてもらうイベント」を開き、その腕前を披露していた。このイベントに参加し「見るからに力が湧いてくるような」武重さんの料理に感銘したのが、ZUMBAの阿部さん。アスリートの阿部さんが考える「体にいい食」の理想形でもあったことから、ロコ・ソラーレを紹介したという。