2001年に他の職人たちを説得して作った八角三河仏壇「卜(ぼく)」は、仏壇コンクールで金賞を受賞。
その後も、昭和のテレビをイメージした仏壇「テトセ」や、角が生えた武将風仏壇「武壇(ぶだん)」。
さらに、中に入って拝むスタイルの瞑想空間仏壇「カンタカ」は、愛知万博でも展示された。東京をはじめ、アメリカやドイツなどで開催した個展も好評だったという。
しかし…
都築数明さん:
業界では有名になるが売れない。欲しくないんだなと。(仏壇以外で)売れるものがあるので、そこに仏壇の技術を投入しようと
都築さんは、仏壇づくりで培った技術をおもちゃ会社に売り込みに…
都築数明さん:
話を持っていったら「うるし塗りのフィギュアとか面白いんじゃない?」とか、「金箔したら面白いんじゃない?」と技術を買ってくれたわけですよ
漆でコーティングした限定フィギュアは、マニアの間で評判に。金箔と漆で仕上げた「漆ウルトラマン」(80万円)は、1体だけの限定品だ。その後に手がけたキャラクターの木魚はメディアでも紹介され、三河仏壇の名前を全国に広げた。
位牌があるから家族が集まる…被災者から教えてもらった“位牌の大切さ”
都築さんは新たな試みに挑戦している。それが、お墓の役割も果たす小さな仏壇「i Lived(アイ・リブド)」だ。
都築数明さん:
死んだんじゃなく、生きたというコンセプト
経歴や遺影が刻まれたスマホのような位牌にお骨を入れ、金属製の本に収める小さな仏壇「i Lived(私は生きた)」。思いついたきっかけは、11年前の東日本大震災だった。
被災地へ位牌や仏壇の修復ボランティアとして訪れた都築さんは、3、4本の仏壇を修復したが、それほど喜ばれることはなかったという。
しかし…
都築数明さん:
位牌は泣いて喜ばれる。おじいちゃん、おばあちゃんが帰ってきたと。人として扱うわけですよ。被災者の方から、位牌の大切さを教えてもらった。位牌があるから家族が集まるんだと