被災者からの感謝の言葉で、位牌に対する想いを知った都築さんは、永遠に受け継がれていく小さな仏壇を作ろうと決意。10年間試行錯誤を繰り返し、遂に実現させた。
都築数明さん:
人は二度死ぬと言われていて、一度目が肉体の死で、もう一つは皆さんの記憶からの死。位牌の中に「生きた証」を残して、そこにお骨を入れて、100年後の子孫に何をやってきたかわかるといいな
ふと思い出してくれるように…「生きた証」が刻まれたコンパクトな仏壇
お骨とともに、故人の記憶を納める小さな仏壇の試作を見せてもらった。今回の仏壇のモデルは、2021年11月に他界した都築さんの祖母の末子さん。
末永く使えるように、素材や加工も今までにないものを使い、位牌を収める本は地元の工場に協力してもらいジュラルミン製にした。マシニングという工作機械が、図面通り全て自動で削り取ってくれる。
都築数明さん:
ピカピカ、イメージ以上です。重いけど、これくらいの重さが大切なものを守るって感じがしてすごくいい
本の扉は、温かみを出すためにあえて木で。仏壇にも使われる木目が美しいケヤキを、都築さん自らが製作した。
中に収める位牌は、岡崎市にあるベンチャー企業に依頼。スギの間伐材から作った粉と生漆(きうるし)という精製する前の漆を使った。
加熱しながら数時間混ぜ合わせるとココアのようなパウダーに。それをさらに加熱すると、強化プラスチック並みに硬くなる。
都築数明さん:
石みたい。石なんだけど温かさがある
天然素材ながら耐久性に優れた位牌。そこに祖母・末子さんの“生きた証”を、レーザーカッターで刻みこむ。そして末子さんの息子で都築さんの父、この道50年の一三さんが位牌に金粉を塗った。
都築数明さん:
いろいろ改良の余地はあるけど、とりあえずレーザーの特徴もわかったので、ブラッシュアップして販売までにはいい形にしたい
震災の位牌修復ボランティアから得た想いを形にした、耐久性に優れ、住宅事情にも左右されないコンパクトな仏壇だ。
都築数明さん:
生きた証しが残って、誰かがふと思い出してくれ、次の世代の人たちがこんなおばあちゃんがいたんだと…。こういうものが作りたくて、今までやってきた気がする
本型の仏壇「i Lived(私は生きた)」は、2022年春に販売予定で、価格は数十万円を予定しているとのこと。
(東海テレビ)