文春オンライン

「自分が言われてガッカリすることは絶対息子にも言わない」美味しいものを作ることが生き甲斐な“父ちゃん”辻仁成から息子へ贈る言葉

『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』より #2

2022/03/18

source : 文春新書

genre : ライフ, ライフスタイル, 社会, 読書

note

キッチンは裏切らない

 眠れなくて、今、キッチンにいます。

 風邪ひいている息子はよく寝ています。

 息子くんといつもキッチンで繋がってきました。

ADVERTISEMENT

 悲しい時も、ちょっと話が弾まない時にも、

 そこに、キッチンがありました。

 父子家庭のキッチン、ありがたい逃げ場なのです。

 キッチンは裏切らない。

辻さんは本書の中で「生き難いと感じたときは、何か美味しいものを作ってみましょう」と語る (写真はブログ「JINSEI STORIES」より)

夢を、諦めない

 夢とか仕事っていくつ持っていいの?

 と小さい頃の息子に聞かれたことがある。

 ぼくには夢がある、ずっと諦めたことがない。

 息子が16歳の時、

 ぼくは彼の背中と16歳の自分を比べたことがありました。

 若い頃の夢、今も、まだ、追いかけています。

 死ぬまで、終わらないもの。

言葉がけは大事だよ

 うちは世界一小さな家族だけど、

 たまに、稀に「ありがと」とか言われると、

 やっぱ、気分上がるよ。

 大したことじゃないけど、会社とか学校とか外でも、

 なんかそう感じたら、ありがとう、って言葉にするだけで、

 世界もほんの少し気分上がるんじゃないかな。

 寄り添って生きているんだよ。

 言葉大事に。

幸せとは何か?

 世の中が気にするものって

 数字だったりお金だったり結果だったりするけど、

 負け惜しみじゃないけどさ、

 数字やお金や結果だけ求めても幸せにはならないもんね。

 大切な家族がいてさ、

 笑顔があってさ、

 温かいご飯食べれてさ、

 今日を精一杯元気に生きることができたら、

 それが一番だよね。

奇跡

 考えてみればこの瞬間ここにいることも、

 こうして世界と繋がっていられることも、

 また今日をそこそこ無事に終えることが出来たことも、

 なんだかんだ言ってもなんとか乗り切れてることだって、

 心臓が動いてることや、

 また明日がやってくることも、

 息子の部屋から聞こえる笑い声さえも、

 奇跡なんだよね。