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プーチンの“アドリブ”に困惑の笑みを浮かべて…

 前回の当コラムで安倍外交を振り返ってみて興味深かったのは2018年に安倍氏はプーチンとのアドリブ対決に敗れていることだった。討論の場で安倍氏が北方領土問題についての見解を尋ねたらプーチンに「あらゆる前提条件をつけず、年末までに平和条約を結ぼう」などと切り返され、安倍氏は困惑したような笑みを浮かべるだけだった。

 その結果、

「安倍政権は北方領土問題を政治利用して、逆にロシアに足元をみられ、利用された。経済協力を優先し、領土問題は棚上げどころか、後退してしまった」(中村逸郎筑波大教授(ロシア政治) 朝日新聞2019年6月3日)

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 安倍氏と自民党はここから検証すべきではないだろうか。まさに「議論をタブー視してはならない」のである。安倍外交がプーチン増長の一端を担っていなかったか、このお題からまず「共有」「シェア」して議論したほうがいいと思う。

安倍元首相の訪露をめぐる“伏線”

©JMPA

 さらに2018年のアドリブ対決の直前を調べてみるとこんな伏線もあった。あのときは自民党総裁選の最中であり、安倍氏の相手は石破茂氏だった。安倍氏はモリカケ問題を突かれるのが嫌で石破氏との論戦を避けたという見方もあった。

《今回の総裁選期間中、首相は9月11~13日に訪露する予定で、その間は党主催の立会演説会などは中断される。石破氏の陣営には、「事実上の選挙期間の短縮だ」との不満がある。》(読売新聞2018年8月22日)

 つまりこういう流れだ。石破茂との議論回避→ロシア訪問へ→プーチンにガチの議論を仕掛けられる……。

 議論を避けていると最終的には国益を損なう危険性もあるというお手本である。やはり常日頃から議論をしたほうがいい。「議論をタブー視してはならない」につくづく賛成です。