遅刻は誰でもする可能性のあるミス。たいていは「寝過ごした」とか「忘れていた」といった他愛のない理由であり、やってしまった場合は、とりあえずメールやLINEで連絡をして、素直に謝罪するのが社会人の常識だ。ところが世の中にはなぜか人を待たせた上に意味不明な言い訳を並べ立てる困った人たちがいる。

家族を遅刻の理由に

 定番の遅刻理由として昔から使われているのが「身内の健康問題」だろう。「身内に不幸があって」「田舎の親が倒れて」などと言われれば、それ以上、深く疑うわけにもいかないのが人情だ。多くの会社ではこうしたケースに対応する規定はあるはずだが、数時間の遅刻の場合、うやむやにされるケースも多い。

「以前に勤めていた小さな広告代理店の先輩社員は遅刻の常習犯でした。新入社員として配属された部署の先輩だったのですが、私が入社した年の5月くらいからかなりのペースで遅刻してくるようになり、酷い時には1週間に2度というケースもありました。

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 最初のうちは『母親が倒れてしまって』とか、『ずっとガンだった父方の祖母が危篤で』ということで、会社側も大目に見ていました。でも、3回も続けばさすがに信じられなくなりますよね。そのうちに『こないだ倒れた母の体調がまた悪化して』と、同じ人を使いまわしてくるようになったんです。

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 会社もやるべき仕事をやってくれればうるさく言わないという方針で、上司も一応注意はするんですが、『しょうがねえなあ。まあ、いつものことか』とスルー。確かに仕事で大きな支障はなかったのですが、すぐに対応しなければならない日常業務や細かいフォロー、雑務は私も含めた他の社員たちがやっていましたからね。

 私も最初の頃は、おおらかで社員にも優しい社風なのかなと、いいように捉えていましたけど、しばらく勤めているうちにマトモな社員管理もできないブラック企業なんだということにようやく気づきました。結局、この先輩は私が入社して数カ月ほどで退職。私も1年も持たず、逃げるように会社を辞めて転職しました」(34歳・会社員)

 続いては20代のデザイナーの目撃談。遅刻したのは同じデザイン会社に勤務する40歳の先輩だ。