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初音ミク誕生から10年 “生みの親”が語る「狭く売るビジネスモデル」

クリプトン・フューチャー・メディア代表 伊藤博之さんインタビュー#1

初音ミクは、人が創造する営みの象徴

――初音ミクの場合は、どう狭く売っているんでしょうか。

伊藤 コンサートイベントに来てくださるファンの方たちは、ミクのことが好きなのはもちろん、楽曲を作るクリエイターに対する愛情も強い。ですから、ミクのコンサートってクリエイターが一堂に会する、ある種の「クリエイター祭り」みたいなものになっていて、これこそコピー不可能な、かけがえのないイベントになっている気がします。

――初音ミクを通して、クリエイターが育つ土壌も作っている感じですね。

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伊藤 初音ミクで楽曲を作る様々な人がいる、初音ミクを描く様々な人がいる。そうしたクリエイターに共感する人たちが、国内外問わず、世代を超え、ミクの周辺に集まってくる。初音ミクはそういう、人が創造する営みの象徴になってきているのかな、という気がしています。そういう10年を、初音ミクを通じて見てこれたのは幸運でしたね。

 

後編 どうして“初音ミクの会社”は札幌にあり続けるのか?(http://bunshun.jp/articles/-/5256)に続く

写真=吉川麻子 

いとう・ひろゆき/クリプトン・フューチャー・メディア代表取締役。1965年、北海道標茶町生まれ。北海学園大学経済学部卒業後、北海道大学職員として勤務、95年にクリプトン・フューチャー・メディアを設立する。2007年に「初音ミク」を発売。日本文化を海外に発信している功績により13年に藍綬褒章を受章した。

初音ミク誕生から10年 “生みの親”が語る「狭く売るビジネスモデル」

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