不肖・宮嶋、最後の戦場取材へ――。
数々のスクープ写真で知られる報道カメラマンの宮嶋茂樹さん(60)。これまでにイラク、北朝鮮、アフガニスタン、コソボなど海外取材を数多く経験し、あまたのスクープ写真を世に問うてきた。そんな不肖・宮嶋がロシアの軍事侵攻に揺れるウクライナへ。混乱する現地で見えてきた「戦争の真実」とは?
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もうこれだけで準備アップアップや
不肖・宮嶋、久々の海外出張である。そや、新型コロナのせいでこの2年間1回も海外出られんかったのである。しかし今回ばかりはそうも言うとられん。大戦の導火線に火が点けられたのである。サラエボ、ポーランドに続きウクライナ、ヨーロッパは世界大戦の発火点になろうとしているのである。ここは還暦過ぎの老体にムチ打っても現場に駆けつけるべきときであろう。
出国は2月25日と決せられた。
しかし、それまでにやらないかんことがぎょうさんある。
いまだ新型コロナ禍オミクロン株なるものが収まる気配がない。そんなご時勢に国際線に軽々しく乗り込み、ヨーロッパ各国に熱烈歓迎入国許されるわけもない。まずは羽田からにしろ成田からにしろ国際線搭乗72時間以内に発行されたPCR検査陰性証明が要るのである。ただ飛行機に乗るためだけで。さらに最終目的地ウクライナ入国48時間以内に英文で発行された陰性証明も必要とされているのである。そして帰国時には隔離期間短縮のため3度目の新型コロナワクチン接種証明も必要なのである。もうこれだけで準備アップアップや。
ウクライナへの侵攻開始、出発を前倒しに
ルートは24日羽田発の深夜便でトルコ、イスタンブール経由、25日ウクライナのキエフ着。その予定に備え、前々日22日からPCR検査に向かおうとしていた矢先であった。ロシア軍のウクライナへの侵攻が始まろうとしたのは。
「えっ、もう始まるんか? 米バイデン大統領の言うたとおりやんけ」
今度ばかりはアメリカの情報機関の読みどおりや。
「ロシア軍マリウポリに上陸か?」「ロシア軍ウクライナ東部2州に侵攻」
これは出発を前倒しせないかん! そやったらPCR検査予約入れ直さんといかん、せやけど今日中にはどこもやってくれんし、どないする?
右往左往するだけで時間だけがむなしう過ぎていく。