2000年にiモードで発表した『Deep Love』が月間300万アクセスを叩き出し、書籍シリーズは累計300万部を突破。「ケータイ小説」という新しいカルチャーを生み出したYoshiさんは、まさに時代の寵児となった。……が、2012年、突如すべての書籍を絶版にし、活動を停止。人気絶頂の中、忽然と姿を消した。

 小説をほぼ読んだことがなかったというYoshiさんはなぜ「ケータイ小説」を生み出し、ムーブメントを起こすことができたのか。そして今は一体どこでなにをしているのか。(全2回の1回目/続きを読む)

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――よろしくお願いします。正直、本物のYoshiさんを目の前にして「わあ、ほんとにいたんだ」という気持ちです。

Yoshiさん(以降、Yoshi) 幻じゃないです。本当にいます(笑)。 

――ホームページのお写真ではヒゲがありましたけど、今はもう剃られてるんですね。

Yoshi あれは15年くらい前の、一番活動していた時の写真ですね。自分は2000年に『Deep Love』の小説を出して、メインで活動したのはその後10年くらいだけなので。

『Deep Love 完全版 アユの物語』(Yoshi著、スターツ出版)

――そんなに短かったんですね。2010年以降はどんな活動を?

Yoshi 2012年に全部小説は絶版して、まあ簡単に言えば、「やーめた」っていう感じで石垣島に移住しちゃったんです。

 2019年に漫画版の続編は書きましたけど、表立った活動としてはそれが最後ですね。

――失礼ですが、生活はどうやって…?

Yoshi 嫌味になっちゃいますけど、『Deep Love』のヒットで稼いだので金はね、心配ないんです。

©文藝春秋

キャリアの絶頂で「出家」した理由

――今日は石垣島から来てくださったんですか。

Yoshi いえ、数年前に東京に戻りました。石垣は2012年から6年間くらい住んでいました。朝起きて海行って泳いで。ぼうっとしてるうちに子どもが帰ってくるから遊びに連れてって。畑仕事もやってましたね。

――石垣島ではほとんど仕事はせず。

Yoshi そうですね。子どもは僕の仕事を聞かれると「マッサージ」って答えてたらしいです。それは僕がよく家にマッサージ師の人を呼んでたからなんだけど。

――お子さんはお父さんの仕事を「マッサージされる」ことだと思ってたんですね。

Yoshi 畑仕事してるかマッサージされてるか、やってることってそれくらいだったから、まあ無理もないですね。