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「援助交際は、穴のレンタル」と少女は言った…累計1000万部「ケータイ小説の生みの親」がゼロ年代に支持されたわけ

ケータイ小説の生みの親・Yoshiさんインタビュー#2

2022/03/19
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――そういうときって税務署がきたりするんですか。

Yoshi すぐ来ました。税務調査だっていってね。まあ最初から会計事務所にお願いしてたからなんの問題もなかったですけど。

――確定申告の職業欄はなんと書いていたんですか。

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Yoshi その当時は「出版業」かな。

「作家・Yoshi」はタレントみたいな感覚だった

――「執筆業」ではないんですね。

Yoshi 確かに小説書いてたんだからそれでもいいよね。ただ、僕自身は事務所の社長で、作家「Yoshi」はその事務所に所属するタレントみたいな感覚なんですよ。

――「Yoshi」という存在をブランディングしているようなイメージですか。

Yoshi そうですね、会社の大切なブランドですよね。何を発言するかとか、どんな仕事を受けるかとか、トータルコーディネートしているような感じです。

――では今日は久しぶりにYoshiさんとして喋っていただいているということでしょうか。

Yoshi たしかに久しぶりにYoshiとして話してるね。でももうほとんど素だね(笑)。昔はもっと尖ってて話しかけにくい雰囲気だったと思いますけどね。

 才気走ってたというか、直感的に仕事の良し悪しを見分けてね。ブランドの価値を落とすような仕事は何億積まれてもやらなかったですから。

©文藝春秋

――具体的にどんなお仕事を断ったんですか。

Yoshi インスタントラーメンの蓋に小説を書く仕事は断りましたね。ただ何十万食と出荷するから、受けていればそうとうお金にはなったと思いますけど。

文学ファンからの厳しい批判もあったが…

――『Deep Love』は小説を読まない層にまで読者層を広げたからこその「カップ麺の蓋」という気もします。一方で、いわゆる文学ファンからは冷ややかな態度を取られたそうですね。

Yoshi 昔からある文学の手法に照らし合わせたら、僕の書き方はメチャクチャでしょうからね。「2ちゃん」でもそうとう叩かれました。

――2ちゃんねるでエゴサーチされてたんですね。

Yoshi 当時はね。ただね、僕の作品は「どこにもない何か」だったので、それがうまいか下手かは比べようがないと思うんです。

 ガラケーは横8文字しか表示できなくて、漢字にルビも振れない。そんなフォーマットに書く作品なんだから、これまでの小説と同じになりようがないですよ。