「援助交際は穴のレンタル」という少女の言葉
――そんな中でYoshiさんがiモードで発表した『Deep Love』は、援助交際はじめ、バブル崩壊後の混沌とした「90年代日本」が横溢していました。
Yoshi 援助交際をやめさせるために書いたわけじゃないですけど、何か考えるきっかけになるようなものを作ろうと思ったんです。
実際に援助交際をやっている子に話を聞いたら、「私は穴のレンタルだと思ってるんで」と言い放っていて衝撃を受けました。このセリフはそのまま小説に入れています。
――読者の反応も取り入れているんですか。
Yoshi 今じゃネット小説とか漫画では当たり前になってますけど、それまでの作家って、書店での発売後にしか読者の反応を知る術はなかったわけですよね。
だけど僕は1話をアップする度に送られてくる読者からのメールを全部読んで分析して、また1話目を書き直してたんです。
「10万人いた読者が8万人に減るのには理由があるはず」
――読者の感想を読んで次の話に活かすというより、リリースしたエピソードをまた書き直されていたんですね。
Yoshi 1話ごとに100回は手を入れているんじゃないかな。だから原型をとどめていないというか、最初にアップしたときとは全然違う話になってますね。
iモードで『Deep Love』を発表したとき、1話目を10万人が読んで、2話目になると8万人、3話目で7万人と落ちていって、その後は話数を経ても5万人から読者は減らなかった。その数字を見ながら僕は執筆をしていたんです。
――マーケティングしながら話を作っていたんですね。
Yoshi 10万人いた読者が8万人に減るのには理由があるはずで。だから離れてしまった理由を探すために、読者にウケるものが何か徹底的に追求していったんです。オーディエンスの反応で演奏を変えていくライブミュージシャンみたいなものですよね。
ただiモードで読まれるだけじゃお金にはならないから、そこは大変でしたけども。