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成人食物アレルギーになりやすい人の傾向がある

 もちろん個人差はありますが、食物アレルギーになりやすい人に共通する傾向がいくつかあることが分かってきています。

(1)アレルギー反応を起こしやすい体質である

 食物アレルギーに限らず、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、喘息など、すべてのアレルギー疾患の人に共通して見られるのは、アレルギー反応を起こしやすい体質(アレルギー体質、アトピー体質)である点です。

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 体質とは、文字通り体の性質、生まれ持っての遺伝的素因と、生まれ育った環境的要因との相互作用によって形成される、人それぞれの総合的な性質という意味です。

 親、兄弟、姉妹など肉親にアレルギー疾患を持つ人がいると、新たに生まれてくる子どももアレルギー疾患を発症しやすい傾向があります。こうしたアレルギー疾患の家族歴は、子どものアレルギー疾患発症のリスク因子であることが、多くの研究結果から分かっています。

 しかし、アレルギー疾患は遺伝的な素因だけで発症するわけではなく、環境的要因を含めてさまざまな要因が関与しています。アレルギー体質であっても発症しない人もいますし、子どもの頃に発症したアレルギー疾患は、成長するに伴って、自然にあるいは治療によって症状が軽快することが多いのです。

 一方、成人になって新たに発症した食物アレルギーは、長期的には軽快する場合もありますが、軽快しにくいものもあります。

(2)花粉アレルギー(花粉症)がある

 0~3歳の乳幼児の食物アレルギーでは、鶏卵、牛乳、小麦が三大原因食物といわれていますが、成人食物アレルギーの場合、圧倒的に多い原因食物は、果物・野菜です。

 その理由として、成人に花粉アレルギー(花粉症)が多いことが考えられますが、花粉と果物・野菜とがなぜ結びつくのか、不思議だと思いませんか。

 花粉アレルゲンにより花粉アレルギーを発症した成人は、構造がよく似ている果物・野菜に存在するアレルゲンに対する交差反応によっても、花粉-食物アレルギー症候群を発症してしまうというわけです。原因は、そこで起こっている交差反応にあります。

写真はイメージです ©iStock.com

(3)生活習慣が乱れている

 働き盛りといわれる20代後半~50代は特に、過労、慢性的なストレス、睡眠不足や運動不足、偏った食事といった生活習慣の乱れなどが原因で病気にかかりやすくなり、明らかに成人食物アレルギーが出やすくなります。

 中でも気を付けなければいけないのは、偏った食事です。特に、砂糖の取りすぎが、アレルギーの発症・増悪(病状がさらに悪化すること)に関係していることは、私の長年の診療経験からして紛れもない事実です。実際に、甘い菓子を食べる習慣をやめたところ、長年悩まされていた鼻炎や咳などのアレルギー症状がほぼ完治した患者さんをたくさん診てきました。

 ではなぜ、砂糖を取りすぎるとアレルギー症状が悪化しやすいのか。そのメカニズムについてはあまりよく分かっていない面もありますが、その1つとして、ブドウ糖を代謝する時に、ビタミンやミネラルを消費してしまうことが考えられます。つまり、砂糖の摂取によって大切なビタミンやミネラルが奪われて欠乏を招き、健康な体を維持するのに栄養の面で圧倒的に不利になってしまうのです。

 また、砂糖を取りすぎると、それを好む微生物(カンジダ菌など)が腸内で増えすぎて細菌バランスが崩れ、アレルギー反応を引き起こす可能性が考えられるだけでなく、全身のさまざまな疾患の炎症反応を悪化させてしまうことも分かっています。

 砂糖が多く使われる菓子などを間食としてたくさん食べてしまうと、それだけでおなかがいっぱいになります。その結果、本来体にとって必要なたんぱく質、ビタミン、ミネラルといった栄養素を摂取する食事がおろそかになり、日々のバランスのとれた栄養摂取という点からも大きな問題です。