砂糖はなるべく控えたほうがいい
最近では、ブドウ糖よりも果糖のほうが体にとって害になっているのではないかという報告も増えています。果糖が体の中で代謝され、アレルギーの炎症を悪化させる物質ができることを多くの論文が挙げていますが、これらの関係を直接的に示したものはまだありません。
トウモロコシのでんぷんを加水分解して得られたブドウ糖液を、さらに甘い果糖液に変化(異性化)させた「異性化液糖(別名高フルクトース・コーンシロップ)」という液体甘味料があります。果糖の含有率が50%以上90%未満のものを「果糖ブドウ糖液糖」 、50%未満のものを「ブドウ糖果糖液糖」と呼びます。
甘味がさわやかで砂糖よりも口の中に残りにくく、低温でも甘味度が増し、低コストでつくれるため、ソフトドリンクや冷菓の他、パン、調味料、缶詰などにも広く使われています。パッケージにも、原材料名として表示されています。欧米でも、異性化液糖を含んだフルーツジュースなどをたくさん飲む人にアレルギー疾患が多いという報告がいくつか見受けられます。
世界保健機関(WHO)は、2015年に「成人及び児童の糖類摂取量」を発表しました。このガイドラインでは、成人および児童の1日あたりの遊離糖類摂取量を、エネルギー総摂取量の10%未満(1日50g未満)に減らすようにすすめています。さらに5%まで減らして1日25g(ティースプーン6杯分)程度に抑えれば、健康効果はより増大するとしています。遊離糖類(free sugars)とは、単糖類(ブドウ糖・果糖等)および二糖類(砂糖、ショ糖)のことです。
また、遊離糖類の摂取量をエネルギー総摂取量の10%未満に抑えれば、肥満や過体重、虫歯のリスクを減らせる明確な証拠があるとされています(食品安全委員会ウェブサイト、『Guideline : Sugars intake for adults and children』World Health Organization 2015)。
アレルギーの発症・増悪予防という点から、砂糖をどの程度厳密に避けるべきなのか、その具体的な数字はまだ明らかになっていません。砂糖は、さまざまな加工品に使われていて、摂取を完全にゼロにするのはむずかしいかもしれませんが、なるべく控えたほうがいいことは間違いないでしょう。
(4)過度のきれい好きである
世の中がきれいになりすぎたために食物や花粉などのアレルギーが増えたという声がよく聞かれますが、はたしてどうなのでしょう。
私たちの体に異物が侵入した時、白血球が連携して防御してくれるシステムには、細菌やウイルスなど万人にとって有害な異物に対して作用する「免疫反応」と、食物の成分など無害であるはずの異物(アレルゲン)に対して作用する「アレルギー(反応)」があります。
異物侵入を察知した抗原提示細胞は、白血球の1つであるT細胞にそれを知らせます。
すると、T細胞のうち、細菌やウイルスが侵入した時はTh1細胞(1型ヘルパーT細胞)が、アレルゲンが侵入した時はTh2細胞(2型ヘルパーT細胞)が、リンパ球の一種であるB細胞に対して武器(抗体)をつくるように指令を出し、それが異物にくっついて撃退します。
アレルギーを発症しやすいかどうかは、このTh1細胞とTh2細胞のバランスが関係しているといわれています。
最近は衛生環境が整い、世の中が清潔になりすぎて感染症が激減したことなどからTh1細胞の出番が減り、代わってTh2細胞の働きが優位になり、本来攻撃する必要のない食物の成分や花粉にまで過剰に作用するようになったという考え方があります。