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 このようなメカニズムが、アレルギーの患者さん一人ひとりのメカニズムとしてどの程度重要かは十分明らかになっていません。しかし、世の中全体としてアレルギーの人が増えてきているのは、このようなメカニズムがあるからではないかと考えられています。

(5)ビタミンDが不足している

 生活習慣とも関係していますが、乳幼児の場合、食物アレルギーを発症する数は、季節によって異なることが報告されています。

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 2歳以下を対象に行った疫学調査(あいち小児保健医療総合センターアレルギー科)で、食物アレルギーと診断された乳幼児は秋冬(10~12月)生まれが多く、春夏(3~5月)生まれが少ないという報告があり、日本以外の国からも同様の結果が聞かれます。

日照時間とビタミンDとの関係

 ここで考えられるのが、日照時間とビタミンDとの関係です。ビタミンDはカルシウムやリンといったミネラルの吸収を増やして骨を強くしたり、血液中のカルシウム濃度を調節したり、過剰な免疫反応を抑制するなどの働きがあります。

 食物では、サケ、カツオ、しらす干し、イワシの丸干し、あん肝などほとんどの魚介類、キクラゲや干しシイタケなどのキノコ類、豚や鶏のレバー、鶏やうずらの卵の黄身に多く含まれています。

 また、こうした食物からだけでなく、日光を浴びることでも体内につくられます。皮膚の近くにあるプロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)が紫外線に当たることでビタミンD3が合成されます。

 近年、ビタミンD欠乏症と喘息などのアレルギー疾患の発症との関係について研究が盛んに進められています。ビタミンD欠乏状態が食物アレルギー症状を増悪させることが、松井照明氏(あいち小児保健医療総合センターアレルギー科医長)によるマウスを使った研究で直接的に証明されています(Matsui et al. Allergology International 2018 vol.67. (2)p289-291 )。

 1日に必要なビタミンDの目安量は、成人で8・5㎍(マイクログラム)とされています。

 しかし、ビタミンDの推奨摂取量に関しては議論も多いようです。

 秋冬生まれの乳幼児に食物アレルギーが多いのは、春夏に比べて日照時間が短く、日光を浴びる時間が少ないことによるビタミンDの生成不足も要因の1つと考えられます。

後編へ続く

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福冨 友馬

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