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「山の手線沿線、バストイレ別で6万⁉︎」と喜んだものの…破格の物件に入居した女性が経験した、セクハラ大家という“地獄”

2022/03/22

genre : ニュース, 社会

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 築年数は30年以上で外観は古めかしい印象だったが、部屋の中はリフォーム済みのキレイな内装だった。内見の際に彼女は「掘り出し物だ!」と感じてその日のうちに入居を決めたという。

「転居前に住んでいた家は、職場からかなり遠くて通勤が大変だったんです。一方その物件はかなり交通の便がよかった。何より、家賃が相場よりも安かったのが魅力でしたね」

 そして引越し当日、引越し業者とともに自室に行くと、彼女が住む予定の部屋の中に70代前後の男性が立っていたという。その男性こそが、これから彼女を悩ませる大家だった。

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「部屋に人がいると思わなかったので、とてもびっくりしました。そのときはギョッとしましたが『挨拶に行く手間がはぶけた』と思い、とりあえず菓子折りを渡して雑談をしたんです。でも、話しはじめてすぐに、先方の発言に違和感を覚えたんです。洗濯物について話しているときに『洗濯物は外に干さないほうがいいよ。派手なパンティは盗まれちゃうから』と、いきなり下着の話をされたんですよ」

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 初対面の男性から「パンティ」という単語が飛び出し、動揺してしまった渡辺さん。そのときは驚きすぎて苦笑いで返してしまったという。

「あとになって大家の発言を思い出して、徐々に不快感が湧き上がってきました。その瞬間に怒ることができればよかったのですが、驚きすぎると何も言い返せないというか、なんと返せばいいのかわからなかったです。ただただ気持ち悪かったのを覚えています」

勝手に排水口を掃除された

 その後も大家は、なにかにつけて渡辺さんの部屋を訪れた。お菓子をくれることもあれば、彼女の部屋のカーテンに難癖をつけて、自分好みの「クマ柄のカーテン」を持ってくる日もあったという。「とにかく気味が悪くて怖かった」と渡辺さんは振り返る。

「大家の行動はどんどんエスカレートしていきました。ある日、私が出勤しようと部屋を出たときに話しかけてきて、『排水口の掃除をしといたよ。髪の毛いっぱい詰まってたね』と、ニヤニヤしながら言ってきたんです。どうやら、私がいないあいだにマスターキーで部屋に入って、勝手に排水口を掃除したようなんです……」