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島の別荘に少女たちを用意し、売春を斡旋…先進国でも整備が行き届かない“里親制度の闇”〈児童虐待・福祉の現在地〉

『チャイルドヘルプと歩んで』より #2

2022/03/31
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島の別荘で児童売春を斡旋していた富豪

「不幸な少女たちを引き取って育てる、心優しい家族の正体は性的虐待者だった」――このような見出しが各地の新聞にしばしば載る。

 ニューヨークで逮捕されたアメリカの富豪ジェフリー・エプスタインは、彼が所有する島の別荘に少女たちを用意し、世界中のトップセレブを招待していたという。彼は児童売春を斡旋した罪で有罪となり、刑務所内で自殺したと発表されたが、その背後には世界で4000万人以上の被害者、うち、25%は未成年といわれる人身売買の大きな闇が潜んでいたのではないかと囁かれている。

 エプスタインは、経済的に恵まれない未成年の少女を好んだ。なぜ、経済的に恵まれない子を好むのか。

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 周りの人々、そして地域社会がその子の消息に関心を持たないからだ。リホーミングチルドレンは、そういった意味でも大きな危険にさらされている。

 レベッカは、顔を歪めながら言った。

「アメリカはひどすぎる……。暴力、貧困、薬物、アルコール、虐待、性的暴行、人身売買……本当にアメリカはひどい国よ……」

 それでも。

 マーヴの子供たちは家族を求めている。

愛に飢えながらも、愛を与える人になろうとする少女

 折り紙授業のとき、12歳の女の子と会話した。

「大きくなったら何になりたい? 夢は何?」

 すると彼女は、パッと明るい笑顔を見せて言った。

「私ね! 将来、この施設で暮らす子供たちを養子に入れて私の子供にしてあげるの。そして、幸せにしてあげるのが夢なの! ここの子供たちのお母さんになってあげるのよ。大人になってたくさん、たくさんお金を稼いで、ひとりでも多くこの施設の子供たちに家族をつくってあげるの」

 彼女もまた、自分を養子にしてくれる家族が現れるのを待ち続けている子供のひとりだ。

 マーヴには特に深刻なケースで保護された子供たちが多い。彼女もきっと想像を絶するつらい経験をしてきたはずだ。それでも、彼女はこう繰り返す。

「私ね、幸せになりたいの。将来、優しいお母さんになって、とてもよい家庭をつくって、そして多くの人に幸せをつくってあげたいの」

 愛に飢えながらも、愛を与える人になろうとする少女。

 彼女の願いが叶えられることを、祈らずにはいられなかった。