しかし、両親がそのことを学校から知らされたのは、準奈さんが亡くなった後だった。イジメと自殺の因果関係を調査する第三者委員会が酒田市教育委員会によって設立され、今年3月上旬に調査は終了した。3月末にも遺族の元に調査結果をまとめた報告書が届くというが、学校、市教委、第三者委員会の対応は「遺族に寄り添う」という言葉とはかけ離れたものだったという。
「2020年11月に保護者を対象に行われたアンケートに対して、私は『(イジメを受けた行為について)あてはまる』に〇印をつけて提出しました。しかし学校側は、調査結果を市教委に提出する時に、2020年6月に同様のアンケートで『あてはまらない』と答えた時のものを提出していたんです。娘が自殺した後に私たちがこの“隠蔽行為”を指摘した時も、市教委は“間違えてコピーした”と答えるだけでした」(母親)
「一体どこが遺族に寄り添っているのか」
準奈さんの父親は、文科大臣に宛てた手紙の中でも、学校、市教委がアンケート結果を正確に報告しなかったことに憤りを隠さなかった。
《“この教委は事実を隠蔽するつもりだ”という疑いがあるからこそ、原本をそのまま開示してほしいと言っているのです。生徒用アンケートで我々に開示されたのは半数以下。保護者用アンケートは開示の用意すらされてませんでした。なお、開示されたアンケートの閲覧前には口止めの誓約書にサイン・捺印しなければなりませんでした。口止めの誓約書を書かせる権限とは何でしょう。一体どこが遺族に寄り添っているのか理解に苦しむばかりです》
国会でも、イジメを訴えた母親のアンケートが学校から酒田市教育委員会に提出されなかった件について、梅村議員が「自殺の原因を探る重要な手がかりであり、作業ミスという軽い言葉で済ませるべきではない」と指摘した。末松文科大臣はこう述べた。