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自衛隊に「“ミリオタ”的な人は一定数います」

 そして実際に戦闘が始まった時に、最後に頼りになるのは個人の覚悟よりも、部隊の上官や仲間たちとの強い信頼関係だと山下氏は語る。

「2003年に自衛隊がイラク戦争に派遣される時に、アメリカ軍の実戦経験者に教わったのは『この指揮官の言うことは信頼できる』『仲間たちのために』という気持ちの大切さでした。いくら自衛官としての訓練を重ねてきても、銃弾が飛び交い味方が撃たれれば恐怖で足がすくんでしまうことはあるでしょう。その時、上官が部下の肩を叩いて『大丈夫だ、行け!』と言う。その言葉を信じて訓練の成果を発揮できるようになるために、日々の訓練があるわけです」

自衛官時代の山下氏

 自衛官は日々の訓練によって戦闘技術やそれを発揮する精神力を培っているが、それを抑制するよりも“使ってみたい”と考える人は内部にはいないのだろうか。

「正直に言えば、『銃を撃ってみたい』という動機で自衛隊に入る“ミリオタ”的な人は一定数います。ただ、そういった人はすぐに辞めていきますね。サバゲーのような訓練をイメージしているのでしょうが、体力の限界まで続く戦闘訓練、駆け足や銃剣道といった地味でキツい訓練が続くので『銃を撃ちたい』という動機では続かないんです。ウクライナの義勇軍に志願した人の中に、そういう人がいないといいのですが……。むしろ私のイメージでは、実際に長続きするのは“職がなくて入った人間”。私自身もそうでした(笑)」

ウクライナでは現在も戦闘が続いている ©GettyImages

 現在、日本政府はウクライナで行われている戦争に義勇兵として参加することを認めていない。山下氏も、ウクライナを支援するためには、法を犯すリスクを負わずとも色々な方法があると提言する。

「自衛隊の練度は世界的にも高いですし、災害支援などの経験も豊富なのでできることは多くあるはずです。たとえば隣国のポーランドで難民支援をしたり、支援物資を供給したりすることも十分意味のあることです。義勇兵に手を挙げた人たちは一度冷静になって、何をすることが一番ウクライナや日本のためになるのか、ということを考えてほしいですね」

オペレーション雷撃

裕貴, 山下

文藝春秋

2020年11月19日 発売

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