昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2022/03/22

「こんな状態なのに、さらにお金をかけて相馬に住み続ける理由があるのか。復旧してもまた被災しかねない。仕事は別の土地でもできるので、相馬を離れたい」と話す若手もいる。「あまりに被災が続き、もう疲れてしまった」と話す高齢の女性もいた。

「あの時を上回る地震が2回も続くとは」

 ところで、相馬市は旧相馬藩が本拠を置いた土地だ。中でも相馬中村神社(森拓樹宮司)は旧城内に建てられ、1000年以上の歴史を持つ国重要無形民俗文化財「相馬野馬追(そうまのまおい)」では出陣式が行われている。市を象徴する場所の一つだろう。

 だが、参道にある24基の灯籠は全て倒壊し、鳥居も二つ崩落するなどした。

 同神社は昨年2月の地震でも被災して、倒れた灯籠は直したばかりだった。

相馬中村神社の参道にある灯籠は全て倒壊していた。
狛犬が回転し、橋も破損した(相馬中村神社)。
様々な物が倒壊し、震災や昨年の地震を上回る被害となった。

 毎年7月に行われる相馬野馬追は、新型コロナウイルス感染症の影響で、2年間連続で一部行事のみ無観客で行ってきた。「今年こそ通常開催を」という声が高まっていた矢先の被災だけに、人々の落胆は大きい。

 神社を訪れた時、ちょうど森宮司が泥だらけになって水道管を直していた。

「地割れがすごくて、水道管が損壊してしまいました。業者を頼もうにも、復旧工事で忙しいようです。そこで自分達で直そうとしているのですが、どうも損壊は1カ所だけではないようで……」と苦い顔だ。

「地震の被害は東日本大震災より、去年の方が酷かった。さらに今回の方が大きな被害が出ています。震災から10年を経て、あの時を上回る地震が2回も続くとは」と森宮司は嘆息する。

 いつになったら復興の明るさが見えてくるのだろう。復旧が進んだと思ったら、さらなる地震などが起きて、人々の心は痛めつけられる。

 あまりに酷だ。

撮影=葉上太郎

その他の写真はこちらよりご覧ください。

この記事の写真(20枚)

+全表示

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー
z