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「闇バイトに応募してきた学生や会社員などの青少年、多重債務者、正業を営みつつ仲間で犯罪に従事する者、地下格闘技の選手でありながら犯罪に手を出す者、偽装離脱や社会復帰に失敗した元暴アウトローなど……。

 怒羅権のような組織だった準暴力団以外にも、常習的に犯罪行為を行うグループが増えていきました。彼らは匿名で活動するため、その実態は掴めない。しかし私の見るところ、近年では半グレの低年齢化が進んでおり、加入のハードルも低くなっています。

※写真はイメージです ©iStock.com

 そして一方では、暴力団や暴力団離脱者が半グレを利用し、協働するようになっているのです」

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4パターンの半グレ「危険度★★★なのは…」

 廣末氏は、2019年の9月から11月にかけて、9名の半グレ(10代2名、20代3名、30代3名、40代1名)を対象に、面接調査や刑事施設内に収容されている者との手紙のやり取りを通して調査を行っている。あわせて、裏社会においても半グレの実態に関して、情報収集を行った。

 結果、半グレと呼称される集団による主な犯罪は、特殊詐欺、公的助成金詐欺、大麻や睡眠剤などの薬物の密売、闇金融、債券回収、面倒見料の徴収代行などであることがわかった。そして、それらに関与しているグループには、少なくとも4パターンが存在するという。

 廣末氏が仮定しているのは、(1)草創期の半グレ(危険度★★)、(2)闇バイト青少年(危険度★)、(3)兼業半グレ(危険度★★)、(4)元暴アウトロー(危険度★★★)といったパターンだ。

「関東連合OBなどに代表される(1)は、暴力団になるのは面倒くさいが、10代の頃の非行仲間との関係を引きずり、暴力団に近い準暴力団的な活動(みかじめや薬物関係、債権回収など)を生業としている集団です。

 なお、このカテゴリーでは、AV業界に進出する者もいます。人気女優を在籍させるプロダクションを立ち上げることで、AV業界で成功を収めてもいる。ちなみに『OCC Summer No6』(立花書房、2019年)によると、暴力団の縄張り内で活動するAV女優のスカウト会社は、プロダクションよりも上位に位置しています。つまり、彼らの経営するAVプロダクションは暴力団のシノギに直結しているのです」

 次に、(2)だ。特殊詐欺等に従事する若者たちがここに当たる。

SNSに投稿されている闇バイト募集

「カネが欲しく、でも真っ当に働きたくはないが、かといって暴力団や準暴力団にもなりきれない層です。コロナ禍では、闇バイトなどを通して、生活困窮者もこのカテゴリーに組み込まれました。

 彼らは知ってか知らずか、暴力団や準暴力団の走狗となって犯罪を実行します。結果、(1)の下で実行部隊として使い捨てにされるケースが多く、犯罪でしくじったら切り捨てられる消耗要員でもあります」