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アメリカ人は独立独歩、自分で考えてから結論を出す

――話が逸れますが、今回の取材はコロナ禍の最中の取材でもあります。トランプ支持者はマスクをしないと言われています。

横田 トランプ支持者のなかにだって、マスクしている人はいるんです。でも日本人の感覚は通じないですよ。アメリカ滞在中に住んでいたアパートの共有スペースにも「マスクを付けましょう」と貼り紙がしてあったけれども、実際に付けていたのは僕くらい。

 アメリカ人の住人が「日本ではみんな、そうなのか?」と聞いてくるから、「日本人はマスクが好きで、首相が全国民に配るくらいだ」って返すと、びっくりするわけです。政府がアベノマスクを送ってくるなんて、彼らからしたら、何を言っているかわからない。日本人がアメリカ人のマスク嫌いがわからないのと同じで、そこは埋めがたいんだなと思いましたね。

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 日本人は同調圧力で、マスクでもなんでも、すぐにハイハイと受け入れるけれども、アメリカ人はそうじゃない。独立独歩の人たちなので、自分でいろいろ考えてから結論を出します。まして国や州に何かを押し付けられそうになると、なおさらです。「国や州にその権利はあるのか?」となる。

『「トランプ信者」潜入一年』(小学館)

――いまの話はオバマケアへの抵抗感にも通じると思いました。「なんで国が保険を押し付けてくるんだ?」と。国民皆保険への忌避は日本人にはわかりにくい心情です。

横田 アメリカ人には、自分のことは自分で面倒を見るという考えが根底にあります。だから、自由に保険を選ぶ権利がある、保険を持たない権利だってあると考えます。それでも国民皆保険はルーズベルトの時代くらいからずっと議論になっていて、オバマは政治生命を賭けてそれを実現した。ところがトランプは大統領になるとそれを無効にします。

 トランプはオバマ嫌いだから、オバマケアに限らず、TPP協定への参加やイランとの核合意といった彼の政治的遺産をひっくり返していくんだけれども。