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中国共産党を“CCP”と呼ぶ人たちのニュースソース

――中国共産党に関する陰謀論も本書には多く登場します。暴徒化した彼らを制圧する警察部隊に対して「CCPの回し者め!」と言うなど、トランプ信者は“CCP”と略称で呼びますね。日本でもあえて中共と呼ぶ人がいますけれども。

横田 CCPと言われると、「なにそれ?」って思いますよね。アメリカではテレビなどでもそうは言わない。あえてCCPと呼ぶ人たちは、ニュースソースをエポック・タイムズ(法輪功の新聞)などに依存している可能性があります。

「集計機が操作されてトランプ票がバイデン票に入れ替わった」といった不正選挙の話を信じている男性に、どこでそうしたニュースを収集するのかと聞くと、「OANNやニュースマックス、それにエポック・タイムズ紙が多いかな」と答えました。OANNやニュースマックスはトランプ寄りの新興のメディアですが、こうしたところがウソを平気で流し、それをトランプ信者は信じるんです。

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「ミシガン州で開票日の夜に、突然現れた13万票のバイデン票は、CCPが急いで印刷したものだ」という人もいました。どこでそれを印刷したのかと聞くと、「アメリカ国内にはCCPの息のかかった印刷所がたくさんあるから、そんなことは簡単だ」と答えました。

連邦議事堂前に集結したトランプ信者たち ©横田増生

――トランプ信者からすると、“闇の政府”と中国共産党の両方に支援されているのがバイデンです。人気者ですね。

横田 トランプに不利で、バイデンに有利なことが起きると、“闇の政府”のせいだ、CCPの仕業だとなる。けれども、その証拠は一切ないです。

 新型コロナ・ウイルスでもそうです。「CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は“闇の政府”に支配されている。ここが発表する死者や感染者の人数は、大統領選でトランプを不利に陥れるためのウソだ」となる。いやいや、CDCは大統領の下にある機関ですよと思うけれども。