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「買った車が真っすぐ走らない」「ついていたタイヤが10年落ち」…中古車売買でトラブルが頻発してしまう“意外な理由”

2022/04/05
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コストの圧縮で整備内容が変わる

 あからさまではないにしろ、納車前整備を担当する整備士には、「時間も費用もできるだけ掛けるな」というプレッシャーがのしかかる。また、製造から10年経ったタイヤは常識的に考えて交換すべきと指摘しても、「ユーザーにこれ以上請求できない」という理由から社内で却下されることもないとは言えない。

 そして、本来であれば整備作業後にするべき試運転は、時間を掛けないために「大きな作業をしていないから不要」という理由で行われないことも少なくない。

 全てがそうであるとは言えないが、時間とお金はリンクする。つまり、コストを抑えて一定以上の利益を出そうとすればするほど、納車前に掛けられる手間も費用も圧縮されてしまうのだ。

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相場より安い中古車は……

 では、私たちユーザーはどういったポイントに注意して中古車を買うべきなのか。また、安心できる業者をどう選ぶべきなのか。

 まず、中古は一物一価と言われるように、値段はあってないようなもので価格は常に変動する。世の中の需要と、その車種の価値が釣り合ったところが相場になるのだから、購入を決める前にその車種の相場を把握しておいてほしい。

 相場よりも安い場合は注意が必要だ。

 販売価格が安いと感じたら、安い理由を明確にしておきたい。主な要因は「オークション仕入れではなく委託販売(相場に則っていない)」「長期在庫」「現状渡し」などの場合。

 例に挙げた中で最も注意しなければならないのは、ろくに整備をしてもらえない「現状渡し」だ。買った直後に不具合が起きたとしても、整備は有料となり、結果的に安物買いの銭失いとなるリスクがある。

 どんな理由であるにしろ、安い理由をまずは明確にしたうえで不安があるのなら、その車を買ってはいけない。中古車とはいえ、決して安い買い物ではないのだから、しっかり納得してから購入すべきだ。そのため、車の状況や納車前にどこまで整備してくれるのかなどをきちんと説明してもらい、疑問や不安に思うことはなんでも質問すると良い。

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