昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ゼレンスキーが日本に求めた「3つの要望」

 もちろん、同情を得ることだけが彼の目的ではなかったはずだ。スピーチの中でもゼレンスキー大統領が具体的な行動を日本に呼びかけることがあった。

 篠田氏は日本への要望を3つのキーワードで読み解く。

「1つ目のキーワードは“アジアのリーダー”。率先してロシア制裁を行った日本に対して誉め言葉のように使っていましたが、その真意としては『日本にアジアでロシア制裁の波を広げてほしい』という思いがあるのでしょう。正直、ヨーロッパに比べてアジアではロシアへの制裁が弱いと言わざるを得ませんから」

首都キエフに残り、抗戦を呼びかけるゼレンスキー大統領 ©getty

 アジアにはロシアに気を使う国が多く、ヨーロッパほど経済制裁に積極的ではない現状がある。日本にはそれを打開する役割が期待されているという。

「2つ目は“国連改革”です。ウクライナにとっては侵略国が常任理事国にいることは非常にリスクです。この立場は非常任理事国である日本にも共通する部分がある。スピーチにもあったとおり、今の国連安保理はロシアの拒否権によって効果的な行動ができていません。日本にはアジア代表として国連におけるロシア包囲網を作って欲しいということなのでしょう」

 国連の安保理決議にはロシアを含む常任理事国すべての賛成が必要だ。2月25日の国連安全保障理事会では、ロシア軍のウクライナからの即時撤退を求める決議案が採決された。ロシアは拒否権を行使し、決議案は否決されている。

プーチン大統領への抗議デモを行うウクライナ国民 ©getty

「最後は“復興”です。日本には多くの武器支援は望めませんし、輸送のことを考えると非効率的です。そのため、必然的に人道支援や復興支援での活躍が期待されます。日本単独の支援ももちろんですが、1つ目の“アジアのリーダー”としてアジア地域での支援の底上げも期待しているのです。

 例えば国連が難民支援を行うにあたってアフリカなどの発展途上国で培ったノウハウがウクライナでは活かせません。発展途上国の難民支援は広大な土地を確保して、『ここでテントを張ってください』とするのが通常。しかし、ヨーロッパではそれはできませんよね。だからこそ、新しい人道支援・復興支援が必要です。前例のないことであっても効果が期待できるプロジェクトに支援金を投下することが日本に期待されています」

z