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オバマ政権の「戦略的忍耐」からトランプ式へ
17年に国連安保理制裁が急に強化された背景には、アメリカの対北朝鮮政策が変わったことがある。民主党のオバマ政権による対北朝鮮政策は、北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動を示さなければ、対話にも応じないという「戦略的忍耐」であった。
しかし、17年1月に発足した共和党のトランプ政権は「戦略的忍耐」を終わらせ、「全ての選択肢がテーブルの上にある」とした。これには軍事行動も辞さないという意図が含まれている。同時に、北朝鮮に対する制裁強化も推進してきた。そのためアメリカは、中国を含む様々な国連安保理理事国に、新たな国連安保理制裁決議の採択と実行を促してきたのである。
制裁が強化されても、北朝鮮の核・ミサイル問題は解決できていない。だが、制裁にまったく意味がないのではない。北朝鮮は17年9月29日、制裁を「野蛮な犯罪行為」と非難し、制裁によって打撃を被っていることを認めている。もっとも、相当な経済的被害が出ても、アメリカに対する抑止力である核・ミサイルを北朝鮮が放棄することは考えにくいが、北朝鮮に政策転換や対話を促すためにも、制裁の手を緩めるという選択肢は現在では考えられない。