津駅は、日本でいちばん短い駅名だという。

 たった1文字でこれよりは短くなりようがないのだから当たり前だ。ひらがなで書けば“つ”。JR津駅の駅名標はひらがなの“つ”の下に漢字で小さく“津”とあるおかげで、遠くから見るとクエスチョンマークに見えるとかでSNSで話題になったこともある。ちなみにローマ字で書くとヘボン式では“TSU”となって、日本一短い駅名ではなくなってしまうようだ。

 と、いきなりどうでもいいお話からはじめてしまった。お客の数が日本一とかだったら語る意味もあろうが、駅名の短さに文字数を割いている場合ではない。

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“日本でいちばん短い名前の駅”「津」には何がある?

「津」には何がある?

 というわけで、今回は三重県の県庁所在地・津市の玄関口である津駅にやってきた。乗り入れているのは、JR紀勢本線と近鉄名古屋線、あとは第三セクターの伊勢鉄道の3路線だ。JRと日本一の大私鉄・近鉄がいずれも乗り入れているということは、それだけでなんだかスゴい駅なのではないかと思えてくる。

今回の路線図。JR紀勢本線と近鉄名古屋線、第三セクターの伊勢鉄道の3路線が乗り入れている「津」
JR紀勢本線と近鉄名古屋線、第三セクターの伊勢鉄道の3路線が乗り入れる「津」

 が、それこそ行ってみればわかるが身構えることはない。線路が南北に通っていて東側がJR、西側が近鉄だ(伊勢鉄道はJRに乗り入れる形になるのでJR側のホームを使っている)。

 
JR津駅の駅名標はひらがなの“つ”の下に漢字で小さく“津”とある。遠くから見るとクエスチョンマークに見える?

 JRと近鉄は互いに改札内の跨線橋で結ばれていて、東側がJRの駅舎、西側が近鉄の駅舎。どちらも改札口は共有で、つまりJRに乗る場合も近鉄に乗る場合も同じ改札口を通ればいいということだから、とてつもなく便利である。

 ……などと思って旅人が気軽にICカードをタッチしたら、もう半分トラップに引っかかっている。津駅の自動改札は、JR側も近鉄側もどちらもICカードがタッチできるタイプなのだが、残念ながらJR紀勢本線はICカードが使えない。そのままICカードエリア内の名古屋駅まで乗っていっても、出るときに引っかかってジエンド。

 逆に近鉄ならば名古屋だろうが大阪だろうが、さらには遠く阪神電車の甲子園も神戸三宮も行くことができる。なんだかとてつもない、JRと私鉄のあべこべ格差を感じさせてくれるのが、三重県都のターミナルなのだ。