2018年、拘留中だった樋田淳也被告が大阪府警富田林署から逃走し、窃盗を繰り返していた事件。最高裁判所は3月28日、「社会に不安を与え、逃亡中にも罪を重ねた」と、上告を退け懲役17年の判決を言い渡した。
強制わいせつ、強盗傷害をはじめ、併せて21もの罪に問われていた樋田淳也被告。逃走中は「日本各地を走り抜けます」などと語り、逮捕後もほとんどの事件で無罪を主張していたという。一体どのような人物だったのか。刑務所仲間が明かした樋田被告の素性、複数の女性への卑劣な行為を報じた「週刊文春」の記事を公開する。(初出:週刊文春 2018年08月30日 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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「家電窃盗が一番得意」
ふくらはぎに刻まれた兎の刺青のように、警察署の塀を乗り越えて脱兎のごとく逃走した樋田淳也(ひだじゅんや)容疑者(30)。この大胆不敵な男は今年5月、かつての刑務所仲間に対して、“娑婆”の生活に戸惑う胸中をLINEで吐露していた。
〈外の世界は疲れますよ。中は中で色々とありますけど、外に比べたら楽ですもん〉(5月19日)
強盗致傷や強制性交などの疑いで、今年5月以降に4回逮捕され、4つの罪で起訴されていた樋田。大阪府警富田林署に勾留されていた8月12日、署内の面会室からまんまと逃走した。
「午後8時頃に接見を終えた樋田は、弁護士の退出後に面会室のアクリル板を蹴破って外に逃げ出し、午後8時半頃には周辺の防犯カメラに姿が映っていた。翌日から8月15日にかけ、逃亡後に盗んだ黒色の原付バイクでひったくり事件を少なくとも4件起こしたと見られています。被害額から逃走資金として約4万2000円を所持しているようで、8月20日現在、大阪府警が約3000人態勢で行方を追っている」(社会部記者)
樋田は87年12月、大阪府松原市に生まれた。十数年前に亡くなった父は大阪府内の清掃センターに長年勤務し、町内会の副会長を務めたこともあるという。
「兄と妹の3人きょうだい。問題児は真ん中の淳也だけで、警察沙汰は日常茶飯事でしたわ。8年ほど前、20人くらいの警察官が自宅を囲む大捕物があって、淳也は屋根を伝って逃げ回ってましたよ」(近隣住民)
小中学校時代の同級生が当時を振り返る。