1ページ目から読む
3/4ページ目
兎の絵柄を持参して「これを脚に入れてほしい」
〈中ではお世話になりました(中略)時間ある時にお茶でも出来れば嬉しいです。これからもよろしくお願いします〉(5月18日)
別の知人には「出所後、美味しい焼き肉を食べたいですわ」と話していた。
「電話がかかってきたのは5月初旬。『いま先輩の家に転々と転がり込んでいるんですよ。先輩のところで働いて日当もらってます』と話し、実家にも帰っていない様子やった」(同前)
だが、樋田は仲間の心配をよそに窃盗を繰り返していた。刺青を彫ったのはその頃である。タトゥースタジオの店員が証言する。
「彼が飛び込みでやってきたのは5月上旬頃かな。兎の絵柄を持参して『これを脚に入れてほしいんですけど』と。実際施術したのは3日後。スペイン人の彫師が担当し、2時間半ほどで仕上げた。ロングTシャツにジーパン姿で、いかつい雰囲気はなく、終始オドオドした様子でしたよ」
「大丈夫、捕まらんから」
樋田を知る別の元受刑者が証言する。
「ゴールデンウィーク前、刑務所のメンバーみんなで同窓会をやろうという約束をしていたんですよ。それで樋田に連絡したところ、彼は『いま先輩の運転手をして“物事(モノゴト)”をしているから』って、東京にいるような話をしていた。『しょうもないことすんなよ』と言うたら、樋田は『大丈夫、捕まらんから』って言っていました。一緒に刑務所いた頃、樋田は『家電を盗むのが一番得意なんです。出たら欲しいテレビとか言ってね』と話していました」
だが、樋田は窃盗にとどまらず、複数の女性相手に卑劣な行為に及んでいた。