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まさかの優勝決定戦へ!

 まだまだ終わりません。13日目には若隆景が御嶽海に敗れ、髙安が有利かと思うと、14日目に、前半不調だった正代に敗れてしまう髙安。大関陥落かとも思われた正代は、息を吹き返して勝ち越します。千秋楽に2敗で若隆景と髙安が並ぶ、この展開は誰が想像したでしょうか。

 千秋楽の対戦は、髙安が7勝7敗の阿炎と、若隆景が正代と当たります。

 まず先に髙安対阿炎。

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 立ち合い、もろ手で攻める阿炎に横を向かされ、送り倒しで髙安が敗れます。

 今場所冷静に慌てず落ち着いた印象だった髙安でしたが、初優勝のプレッシャーとは計り知れないものがあるのでしょうね。これまで優勝争いをした経験、優勝をあと一歩まで掴みかけて逃した経験、大関としての経験を積み重ねてきた髙安だからこそ感じるプレッシャーや思考。それに苦しめられていると感じる一番でした。

 阿炎は新関脇で勝ち越し、立派です。

 勝てば優勝、負ければ優勝決定戦の若隆景。相手は正代です。

 若隆景も気合の入ったよい表情で勝負に挑みます。

 優勝をかけた一番はなんと正代が大関の意地を見せて勝ち、まさかの優勝決定戦です。

 お客様は大喜びです。3年振りの大阪での有観客での開催ですし、これぐらい盛り上がっていただかないといけないでしょう(笑)。

若隆景と髙安の名勝負

 大阪場所を締めくくる大一番は若隆景対髙安です。

 最後の仕切りで塩を取りに向かう髙安は一声出し、プレッシャーを跳ね返そうとまわしを何回もたたき、気合を入れていきます。

 一方、若隆景は迷いなく一点を見つめたその先には、付き人を務めている3人兄弟の長男若隆元の姿がありました。

 立ち合い、髙安はかち上げていきました。若隆景は髙安に左を差させないよう右に変わりながらおっつけていきます。髙安が攻め、それを若隆景がしのぐ。若隆景の攻めを髙安がしのぐ。攻防の末、若隆景が叩いたところで髙安は勝負をかけ出ていきます。

 土俵際まで追い込んだ髙安の攻めにグラッときた若隆景。「勝負あった!」と思った瞬間、手を手繰り、右でまわしを取り、投げを打ちながら足が出ないように回り込む。

 逆転で若隆景の勝ち。初優勝をまさにつかみ取りました。一瞬でこれほどの動きをみせた若隆景は、よく稽古をしているのでしょう。

 おめでとう若隆景!!

 これほどまでの相撲にしばらくは言葉が出てきませんでした。

 髙安も全力を出したと思います。すごい名勝負でした。