一歩も外に出られない。ほとんど“軟禁状態”
「校内ロックダウン」の対象となるのは、陽性者や濃厚接触者だけではない。すべての学生に「敷地の外に出てはならない」という指示が下されたのである。4年生のB君が語る。
「私たちは今、昨夏と同様、ほとんど“軟禁状態”の日々を過ごしています。平時であれば土日は外出可能ですが、『校内ロックダウン』では一歩も外に出られない。TOEICや資格試験、自動車学校の教習など、今後の生活に必要な外出に関しても一切認めてもらえません。もちろん、キャンセル料を防衛大側は負担してくれません。さらに酷いのは、陽性者や濃厚接触者でもない学生が『今年は成人式に参加するな』と言われたこと。結局、ほとんどの新成人の学生が成人式に参加できなかったようです」
3年生のC君はこのロックダウンのある“例外”について、疑問を感じているという。
「当初、私たちが言われたのは、授業・訓練・部活動の禁止と土日の外出禁止。始まった当初は学内に唯一あるコンビニの利用もダメと。両替をしようとしただけなのに、指導官から厳しく注意されました。学生である私たちは一歩も外には出れません。しかし、指導官たちはロックダウン中も普通に通勤が許されていますし、最初からコンビニの利用もOK。彼らの中にも陽性者はいるはずなのに、この“例外”に関する説明は一切ありません。こういう理不尽な出来事に学生たちはストレスを溜めていっています」
その後、1月17日に「校内ロックダウン」は一部緩和された。陽性者と濃厚接触者の隔離は引き続き行われるが、対面授業と訓練は再開されることになった。だが、前出の4年生・B君は「オンライン授業の設備があるのに、なぜ対面なのか」と首を傾げる。
「防衛大では、2020年夏にオンライン授業の設備を導入したばかりです。しかし、音が聞こえないなどのトラブルが多いため、個別の連絡以外ではほとんど使われていません。そのため、陽性者の出た部隊の学生と一緒に対面授業を受けています。濃厚接触者の隔離はあんなに厳しくやるのに、授業は簡単に対面に戻すのか……という思いです。
ほとんどの授業は40名程度で行われますが、教室が狭いため、席の間隔は2メートルも開いていませんね。平日の毎朝と月・水・金の昼に行われる課業行進(※学生たちが隊列を組んで行進曲に合わせて歩くこと)も、密集隊形をとるため、他の学生と距離を取れていない状態です」