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「“させていただく”を“適切”に使っても現役世代はイラッとする」 新入社員が一生使える“敬語”のルール

2022/04/07
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敬語の種類はいろいろ

 敬語には、種類がいろいろあります。相手を立てる敬語と自分がへりくだる敬語があります。相手のすることは尊敬語で持ち上げればいいのですが、自分のすることをどういうのかは、どうやら難しいようです。

 「ではメールでお送りします」と「ではメールで送らせていただきます」、「ではご案内いたします」と「ではご案内させていただきます」、あなたはどちらを使いますか? 「させていただきます」を使う人が多いのではないでしょうか。

「させていただく」でイラッとされる

 いま社会人によく使われている敬語に、「させていただく」があります。使わないとメールが書けない、話ができないくらいです。しかし、同時に「イラッとする」というコメントもあるので、気になります。

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 先日、広告代理店の方とお会いしました。「先日、部下がメールで何度も『させていただく』を使うので、叱ったんですよ。なんか上から目線で偉そうに聞こえるんですよね。自分では丁寧だと思って使っているらしいんですが、読む方はイラッとします。まあ、私もつい使ってしまうんですけどね」とおっしゃっていました。

 ここには「させていただく」の問題が集約されています。一番の問題は、話し手になると使いたくなるのに、聞き手になるとイラッとしてしまうことです。送り手はへりくだっているつもりなのに受け手には偉そうに聞こえること、無意識に何度も使ってしまうこと、ここには年齢や立場による上下関係も絡んでいます。

「させていただく」の使い方の基準

「させていただく」の使い方をおさらいしておきます。

 まず、どんな動詞と一緒に使うのが適切なのか、見ていきましょう。「させていただく」は、「ご説明させていただく」というように、他の動詞の後ろに付けて、自分の行為を相手の許可を得て行い、恩恵を受けたという事実や気持ちがある場合に使うのが適切だとされています。

 しかし、使っているうちに徐々に敬意がすり減って、許可の意味はまだ残っていますが、恩恵の意味はもうなくなっています。前に来る動詞との相性も大事です。