違和感を左右する2つの要素
以前、研究で意識調査を行い、どういう使い方に違和感が持たれるかが明らかになりました。例文と一緒にポイントを紹介します。違和感は、レベル1が最小、レベル4が最大です。◎○△✖️はお勧め度です。
◎レベル1:「相手と関わる行為」「相手の許可の必要あり」
(1)では、ご契約内容について説明させていただきます。
(2)受講票を確認させていただきます。
これらは「させていただく」との相性がよく、違和感は最小です。
○レベル2:「相手と関わらない行為」「相手の許可の必要あり」
(3)(相手が会議室を譲ってくれて)お言葉に甘えて、会議室を使わせていただきます。
「会議室を使う」こと自体は、相手とは関わりませんが、ここでは相手が譲ってくれたので、違和感はあまりありません。
△レベル3:「相手と関わる行為」「相手の許可の必要なし」
(4)ここでの飲食は禁止させていただいております。
(5)誠に申し訳ありませんが、今回はカードの発行を見送らせていただきます。
「禁止」「見送り」は相手に関わる行為ですが、相手の了解がないので違和感が少し高まります。
✖️レベル4:「相手と関わらない行為」「相手の許可の必要なし」
(6)素晴らしい演技に感動させていただきました。
(7)〇〇コンテストで優勝させていただきました。
芸能人の記者会見でよく聞く「〜さんと結婚させていただきました」に似ています。相手の関与も許可の必要もない行為なので、「させていただく」と相性が悪く、違和感は最大です。
レベル1とレベル2は安全、レベル3は人によってイラッとされるかも、レベル4は多くの人に違和感を持たれています。迷ったら、「相手が関係するか」「相手の許可が必要か」考えてください。両方ともなかったら、使うのを控えるのが賢明です。
敬語の敏感さは年齢順ではない
「させていただく」は年齢層によって受け取り方が異なります。20代までの若年層は全般的に抵抗感が小さいのですが、年齢が上がると違和感も大きくなるので、要注意です。
ただし、抵抗感は年齢順に高くなるわけではありません。「させていただく」に最も厳しい評価を下すのは、60代以上の高年層ではなく、30代から50代の現役世代です。「適切」な使い方に対してさえ、現役世代は全世代のうちで最大の違和感を示します。
ということは、みなさんが一番言葉遣いに気をつけなくてはいけないのは、敬語に厳しい現役世代、つまり、あなたの上司だということです。逆に言えば、上司の世代から敬語に違和感を持たれていなければ、あなたは十分上手に敬語を使えているということです。