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「“させていただく”を“適切”に使っても現役世代はイラッとする」 新入社員が一生使える“敬語”のルール

2022/04/07

 ビジネス敬語は難しい――。丁寧に話したら「慇懃無礼」、検索しながらメールを書いたら「ヘンな敬語」と言われ、いったいどう使えばよいのか?『「させていただく」の使い方』の筆者である言語学者の椎名美智氏が、「ビジネス敬語」の使い方を新入社員にもわかりやすく解説します。

敬語使用は“ちゃんとした人”の認定基準

 社会人1年生のみなさんは、完璧な身だしなみで働き始めたことでしょう。社会人になったら敬語が大事と、解説書を買った人もいるかもしれません。

©️iStock.com

 たしかに、敬語は社会人の基本中の基本、新人研修には必ず言葉遣いや敬語のレッスンが入っています。

 でも、なぜ社会人になったら敬語が大事なのでしょうか?

 じつは、敬語が使えることは、“ちゃんとした人”かどうかという人物評価の基準になっているからなのです。

 人は“ちゃんとした人”にしかお金を払いたくないのです。だから、清潔感のある身なりと丁寧な言葉遣いが必要。敬語は言葉の身だしなみです。

敬語は距離感を表すもの

 さて、敬語は何のために使っているのでしょうか? 社会人にとって、敬語は第一に、目上を目上として表現できる上下の秩序をわきまえている印として使われています。

 でも、それだけではありません。 

 知らない人と話すときにも、社会人は敬語を使います。関係性が薄いので、敬語で距離感をとって話すわけです。

 このように、上下はタテの距離、親疎はヨコの距離として、相手との間に距離を置くことは、文脈によっていろいろな意味になります。逆に、敬語の使い方から、その人が自分と相手をどう位置付けているのかもわかります。

敬語は社会で学ぶもの

 敬語は、お金が頂戴できるちゃんとした人であることを示す印であると同時に、話し手の自己認識や他者との関係性を示す道具です。上司が見ているのはそこ、あなたがビジネスの道具をちゃんと使えているか、というところです。

「学校で何を学んできたんだ!」と叱られるかもしれませんが、現実的には敬語は「成人後採用」といって、社会人になってから学ぶものです。最初からできなくても大丈夫、心配はいりません。数年たてば一通り使えるようになります。それまで先輩や上司の言葉遣いをお手本に、自分の立場に合った敬語を身につけてください。