人身事故や“ヤバい乗客”への対応は…
――どんな業務が一番大変でしたか?
鈴木 人身事故後の対応です。線路の上を片付けなきゃいけないんですが、ご遺体が原形を留めていないことが多くて……。体の一部を拾ったりしないといけないんです。作業中に失神やめまいを起こす人もいるくらい、本当に大変な業務なんですよね。
――それはきつい……。しかも、早く運転再開させなきゃいけないというプレッシャーもある。
鈴木 そうなんです。1時間半くらいを目安に運転を再開させないと、今度はほかのお客様からのクレームがとんでもないことになってしまう。だから必死でした。
――人身事故は特殊な例だと思うんですが、通常業務の中で大変だったことは?
鈴木 クレーマーへの対応ですね。僕が働いていた時は、“髪が濡れてるOLさん”からのクレームが多かったです。
そういう人は、朝シャンプーして髪を乾かす余裕もなく家を出てくるからなのか、イライラしていて何に対しても怒るんです。窓口に来て、「1番線はどっち!? 2番線はどっち!?」と怒ってきたり。酷い時には、「私はずっと満員電車で立っているのに、座ってる人と乗車料金が一緒なのは不平等だ!」と文句を言う人もいました。
だから髪の濡れたOLさんが窓口に来ると、「ああ、終わった。駅長、髪の濡れた人が来ましたー」って言ってましたね(笑)。
――クレームというより、“いちゃもん”ですね。
鈴木 そんな感じです。あとは、「電車に乗って1駅先に行ってまた戻ってくるので、その間、駅前に停めている僕の車を見ていてください」と駅員にお願いしてくる“車を見ていておじさん”もいました。
僕がその方に「それはちょっと対応できません」と伝えたら、「いま休憩中の駅員がいるでしょ? その人を車の前に立たせて見守っていてよ。僕はお客様だよ!」ってクレームをつけられましたね。その方への対応は苦戦しました。